Doll-似ているほど恐ろしい-
初投稿がまさかの一番苦手なホラー。
あたしはホラーが苦手なのでこの作品はそれほど怖いものではないかも知れませんが、暇つぶし程度に読んでみてください。
近所のお兄さんから海外旅行に行ったときのお土産をもらった。
「わぁい!ありがとー!」
それはゴシック系のドレスを着たフランス人形だった。
「理彩はこういう外国製の人形好きだよな?だからこれにしたんだ」
「ありがとーお兄さん!可愛いー!」
あたしは早速、その人形に名前をつけた。
自分と似てるその人形に“リサリサ”と。
それからその人形を部屋に飾った。
「えへへ…リサリサ可愛いなぁ…」
にしてもあたしに似てるなぁ…
目の色と髪の色、長さ以外はほぼ似てる。
似すぎて少し怖いけど…可愛いから気にしない!
ある日の朝、クローゼットを開けるとあたしの服がなぜか切り刻まれていた。
「これ…お気に入りだったのに……」
ふとリサリサを見ると、リサリサの洋服が変わっていた。
「あれ…?リサリサの服、ゴスロリっぽかったのに…」
でもどこかで見たことある模様…?
「あっ!これ、あたしのお気に入りの服…!どうして…?」
疑問はあるが、遅刻しそうなので学校に向かった。
昼休み、友人にリサリサのことを話した。
「へぇー外国製の人形かぁ…いいなぁ!今度見せてよ!」
「あたしもあたしも!フランス人形って超可愛いじゃん!」
友人2人もあたしと同じで外国製の人形が好きだからこの話に食いついた。
「すっごく可愛いよ!でも…どこか不気味なの…」
「例えばどんな?」
「なんかね…その人形、異様にあたしに似てるの…」
「えぇー?」
「ホントなのよ!目の色、髪の色、髪の長さ以外似てるの!」
目と髪色はあたしが黒でリサリサが焦げ茶色、髪の長さはあたしはロングでリサリサがショート。
「なんかすごー……ねぇ今度見せてよ!」
「別にいいけど……そうだ!なんか朝起きたらリサリサの服が変わってたの!」
『服が変わってたー!?』
2人が口を揃えて言った。
「うん…しかもその服があたしのお気に入りの服の生地でさ……あたしのお気に入りの服は切り刻まれてたし…」
「まずさ…リサリサってなに?」
「えっ?あぁ…人形の名前!あたしにそっくりだったから…」
「へぇー。で、その理彩の服が切り刻まれてたって件だけど……昨日の夜に理彩がリサリサの服を作ったとかじゃないの?」
「そんなわけない…!」
だってあたしは裁縫苦手だし、第一作るとしてもわざわざお気に入りの服で作ったりはしない。
「なんか怖いね……まさかリサリサが夜、理彩が眠ってる間に動いて理彩のお気に入りの服を切り刻んで自分の服を作ったんじゃ……」
「やめてー!リサリサが怖くなるから!」
でももしその話がホントだったら……
ってそんなわけないか…
人形が動くわけない…
不気味な出来事は翌朝も起こった。
「ねぇ理彩。髪染めた?」
「えっ?染めてないけど……」
「嘘!少し茶色っぽいよ!?」
えっ!?
手鏡で髪の色を確認してみた。
確かに少し茶色っぽい…
まるでリサリサの髪の色みたいに…
「あたし…染めてないのに……」
翌朝も……
「おはよー理彩!あれ?カラコン入れてる?茶色の」
「カラコンなんて入れてないし持ってもいないよ?」
「えぇー。でも茶色っぽい…てっきりカラコン入れてるかと思ったー!」
目の色を手鏡で確認すると確かに茶色っぽい。
まるでリサリサの目の色みたいに…
「どうして…?」
その日の放課後、初と多美を連れて家に帰った。
リサリサを見せるために。
「これがリサリサ」
部屋に入るなり、早速2人にリサリサを見せた。
「わっ…ホントそっくり……」
「でも目も髪も茶色くないじゃん!むしろ黒っぽい……」
「!?」
まさか……
そんなことがあるの…?
「さすがにここまで似てると不気味だね…」
「うん…近所のお兄さんには悪いけど気味が悪いから処分したい……」
「ここまでそっくりだとねー……」
そして2人と話し合った結果、人形は処分することに。
「お邪魔しました。理彩、一緒に処分しに行こ!」
「一応見届けないとね!」
「初……多美……」
3人でゴミ捨て場まで行く。
そしてあたしはゴミ捨て場にリサリサを置いた。
ごめんね、お兄さん……
「これでもう安心だね!」
「そう…だね……」
翌朝、起きて辺りを見てみると、なにも起こっていなかった。
「よかった……なんにも変化ない…」
学校へ行く途中、リサリサを置いたゴミ捨て場を通った。
リサリサはまだそこにあった。
あたしは安心して学校に向かった。
「よかったねー理彩!なんにも起こらなったでしょ!?」
学校で2人に、なんにも起こらなかったと話すと2人は大喜び。
「うん!ホントよかったー……」
「よし、今日の放課後、ケーキバイキング行こ!」
『また行くの~!?』
あたしと多美は口を揃えて言った。
「いいじゃ~ん!」
「ホント初は甘いの好きだよねー…」
「まぁいいじゃん。多美」
「じゃあ授業終わったら早速行こー!」
『おぉーっ!』
ケーキバイキングを終え、家に帰ったのは7時近くだった。
「ただいまー!」
と言っても両親は海外出張でほとんどいないし、兄弟もいないから1人。
「今日はサラダだけでいっかなー……」
今夜の献立を考えながら部屋に行って部屋着に着替えようとした時だった。
視線を感じ、ふとリサリサを置いてあった場所を見るとそこには……
「い、いやぁぁぁ!」
リサリサがいた。
まるでその目はあたしから逃げられるわけないとでも言うような目だった…
あたしは怖くなって一人暮らしの多美に電話した。
TRRR…TRRR…
《もしもし、理彩?どうし……》
「助けて多美!リサリサが…リサリサがいるの!あたしの部屋に!」
《えっ!?昨日処分したはずじゃなかった!?》
「処分したよ!どうしよう…あたし、怖いよ…!」
《10分で行く。待ってて!》
そう言って多美は電話を切った。
「多美…お願い…早く来て…!」
リサリサはお兄さんからもらった時と変わってるんだ。
服装、目と髪の色…
あたしのものが奪われてるかのように…
すると突然頭に声が響いた。
“理彩…あたしはあなたの分身のようなものなのよ?”
この声はもしかして……
“あたしにあなたのもの…ちょうだい…あなたの全てを……”
リサリサの声……?
リサリサの顔を見ると…口元が動いた。
あたしをあざ笑うかのように…
「いやぁぁぁぁ!」
「理彩!」
バタンッと言う音と共に多美が部屋に入ってきた。
「多…美……!」
思わず多美に抱きついた。
「怖い…怖いよ……リサリサの声が聞こえた…リサリサが笑った……」
「理彩!大丈夫だから!」
「どうしよう…どうしよう……!」
「理彩!落ち着いて…!」
多美に肩を掴まれ、我に返った。
「はぁ…はぁ…ごめん多美…あまりにも怖くて……」
「大丈夫。あたしがいるから」
「うん…ありがとう……」
その後、心を落ち着かせたあたしは多美と一緒に夕食をとった。
「ごめんね…ケーキバイキングだったから夕食はサラダだけにしようと……」
「いいよいいよ!あたしもそのつもりだったし!」
ホント多美がそばにいてくれてよかったよ…
「今夜大丈夫?あたし、泊まろうか?」
「だ、大丈夫だよ…!落ち着いたし…」
ホントはまだそばにいてほしいけど…
多美に迷惑かけられないし…
「そっか。なんかあったらちゃんと連絡してよ?」
「ありがとう。多美……」
多美は夕食を食べ終わってから自宅へ帰った。
「じゃあ明日ね」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
その夜、夢を見た。
夢は夢でも悪夢を。
リサリサに追いかけられ、髪をばっさり切られた。
するとリサリサの髪が伸びた。
「い、いやぁぁぁ!」
自分の叫び声で目が覚めた。
「はぁ…はぁ…」
どうして…あんな夢見ちゃったんだろう…
頭を落ち着けるため手を頭に添えた。
すると違和感に気づいた。
「嘘…髪が……」
短い……
「まさか…!」
リサリサを見るとリサリサの髪は…
長かった……
「いやぁぁぁ!ど、どうして…!?」
夢が正夢に……
リサリサが怖くなって朝ご飯も食べずに家を出た。
ピンポーン
あたしは初の家に着いた。
「あっ理彩!おはよう…って髪切ったの!?あんなにショートは嫌いって……」
「初……」
あまりの怖さに出てきた初に抱きついた。
「怖いの…リサリサが……」
「リサリサってあの処分した…!?って理彩!ちゃんと朝ご飯食べた?顔色悪いよ!」
「食べてない…リサリサが怖くて家を飛び出たから」
「ダメだよ!理彩、入って!お手伝いさんになんか作ってもらうから!」
初は強引にあたしを家の中に入れた。
「あれ?理彩…昨日は大丈夫だった?ってどうしたの!?あんなにショート嫌がってたのに…」
通されたリビングには多美がいた。
「どうして…多美が?」
「昨日のこと、一応初に話したの…そしたらもう夜遅かったから泊めてもらったの」
「そうだったんだ…」
「で、理彩はどうだった?」
「それが……」
昨日見た夢のことから今朝の出来事を話した。
「嘘…じゃあ夢が正夢に…?」
「昨日あたしが帰ったあと髪切ってないでしょ?」
「切らないよ…!あたし、ショートは嫌いだもん。切るとしても後ろ髪は自分で切らない…」
「まさかリサリサって…幽霊とか?」
その可能性は十分ありえる…
「初さん、多美さん、理彩さん。そろそろ登校しないと…」
初の家のお手伝いさんがリビングに入って来た。
「今日は3人共休むわ!」
「し、しかし…」
「理彩がこんな状態じゃ、あたしも多美も学校行ったって授業なんか頭に入らないわ!」
「わたしからもお願いします!」
初と多美はお手伝いさんに頭を下げた。
「……分かりました。休みと連絡しておきます」
「ありがとう!それじゃあとりあえず理彩は朝ご飯食べて」
「うん。ありがとう…」
初と多美がいてくれてよかった……
「理彩。今日うちに泊まりなよ!」
朝ご飯を食べ、初の部屋で3人で今後のことを話していた。
「でも……」
「理彩が怖い思いするなんて耐えられないよ!」
「初、理彩が泊まるならあたしも泊まる!」
「どうする?理彩」
2人には迷惑かけたくないけど…
1人は怖い……
「あたしたちは迷惑だなんて思ってないからね?」
あたしの心情を悟ったのか多美は言った。
「そうだよ!むしろなんにも言ってくれない方が大迷惑!」
「じゃあ…泊まるね……」
すると2人は笑顔になった。
「それじゃあお泊まりセット持ってこなくちゃね!」
「うん!」
今後の話を終えたあたしたちは3人で勉強したり、お菓子食べたり、映画見たりと休みを堪能していた。
そして夜……
「今夜はあたしらがいるから安心だね!」
「うん」
「まさかとは思うけど、リサリサがうちら寝たとき理彩を探しにここまで来ないよね?」
『やーめーてー!』
この時は笑ってたけど、もしそうなったら……
次はなにを奪われるんだろう…?
その頃……
一体の黒い瞳の黒髪で髪の長い人形が空を飛んでいた。
“クスッ…あたしから逃げられるわけないじゃない…あたしとあなたは一心同体と言っても過言じゃないわ…探し出してあげるわ。理彩……”
その人形は理彩のいる初の家へ向かって行った。
ビクッ
「どうしたの?」
「いや…一瞬寒気が……」
「ちょっと寒い?温度上げようか?」
「うんうん。大丈夫」
なんだったんだろう…
あの寒気は……?
「今日はもう寝ようか?夜遅いし…」
「そうだね」
あたしたち3人は布団に入った。
不思議とすっと眠れた。
カタン
“理彩、みーっけた”
えっ?
なに……?
初?それとも多美?
「っ…!」
いきなり気管が狭くなった気がした。
なに…一体なにが……?
意識がはっきりしないなか、目を開けると目の前にはリサリサが……
「!?」
どうしてここに!?
リサリサの手があたしの首を絞めてる。
「っ…はっ…!」
“ひどいじゃない、理彩。あたしを残して泊まりだなんて。あたしとあなたは一心同体と言っても過言じゃないのよ?”
「リ、リサリ…サ……」
“気づいてたんでしょ?あたしが理彩のものを奪ってるって…?”
リサリサは笑ってる。
あたしをあざ笑うように……
“そう。あたしは理彩のものを奪うつもりだった。だから今日も奪いに来たの。なにか分かる?”
そんなのあたしが知るわけ……
“理彩の身体よ”
「!?」
“あたしは理彩の身体に入る。すると理彩はあたしの身体に入る。つまり入れ替わるの。人形のあたしと人間の理彩が”
そんなの出来るわけ……!
「っ!」
あたしの首を締めるリサリサの手の力が強まった。
“バイバイ理彩。これからはあたしがあなたになるから”
そん…な……
あたしの意識はそこで途絶えた。
翌朝…
「ちょっと理彩!リサリサがこんなとこに…!!」
「いやぁ!どうして……!」
「もう燃やしちゃう?怖すぎるよ!」
多美が言った。
「確かにいい考えだけど…理彩、燃やしちゃっていいの…?」
初は理彩に聞いた。
「うん。別にいいよ」
「じゃあ燃やそ!」
初はリビングの暖炉の前に行った。
「いくよ…」
『せーの!』
3人は暖炉の火の中にリサリサを投げ入れた。
するとリサリサは激しく燃えた。
「クスッ……バイバイ“理彩”」
「?理彩、なんか言った?」
「うんうん!!ただ安心しただけ!」
人形は炎の中で涙を流していた。
“初…多美……助けて……”
外国製の人形って可愛いですよね。
それによく推理小説などに出てきますし!