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3歩目
恋愛小説は沢山読んだ。
何度も夢見たシチュエーション。
顧問だけが、体育館に入ってきて、校長と男子はそのまま姿を消してしまう。
「集合!」
部長の声で現実に引き戻される。
顧問を囲むように半円を描く。
彼に夢中な私に、もちろん顧問の声は聞こえてこない。
正直遠目で顔すらも分からなかった。
顔も声も性格も何も分からない。けど確実に恋に落ちた。
「結衣!大丈夫?」
また部長の声が聞こえる。
『え?あ、はい!大丈夫です!すみません!』
知らぬ間に1on1が始まろうとしており、私だけが顧問の目の前に立っていた。
「このまま続けて怪我でもされたら困るから、ちょっと休んできな?」
『いえ!ここから集中します!
お願いします!』
たしかに怪我は嫌だから、集中しよう。




