表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【白い結婚 -王女ですが婚約者に他に愛する女性がいると言われました-】  作者: ナロー
第1章 白い結婚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/45

5 死の偽装


 数日後の朝。トラルセン王国の外れにある、なだらかな丘陵地帯に建てられている屋敷にて。

 カーテンの隙間から朝日が差す部屋のなか、ベッドに眠る女性がうっすらと目を開ける。上体を起こして、寝ぼけ眼を擦りながらベッドから出て、カーテンを開いて朝の光を一身に浴びていく。


「うーん……今日も良い天気ねぇ」


 朝日に負けないくらい眩しい笑顔をこぼすその女性は、エイバー王国の王宮で非業の死を遂げたはずのアンナだった。

 彼女は自らの死を偽装し、このトラルセン王家の別荘に避難していたのだった。

 部屋のドアがノックされた。


「エリスです」

「どうぞ」


 ドアが開き、メイド姿の若い女性が姿を見せる。彼女はアンナに一礼しながら。


「おはようございます、アンナ様」

「おはよう、エリス。朝ご飯は?」

「既に用意してあります」

「じゃあ食べましょうか。あ、その前に身支度を整えなくちゃね」

「はい。お手伝い致します」

「いつものことだけど、ありがと」

「もったいないお言葉です」

「相変わらずお堅いわねぇ」


 アンナは寝間着から部屋着へと着替えて、それから洗面所で顔を洗い歯を磨いていく。


「歯磨きしたあとにご飯食べたら、また歯磨きしなくちゃいけないんじゃないのかなって、いつも思うのよね。二度手間だと思わない?」

「エチケットですので」

「そうはいってもねぇ」


 廊下を歩きながらそんなことを話し、ダイニングに到着すると、アンナはテーブルの前に座る。料理はすでに並べられていて、温かな湯気を立ち上らせていた。


「相変わらず準備がいいわよね。私が来るタイミングに合わせて置いといてくれるなんて」

「いつもやっていることですので」

「なんか疲れそうよね、ずっと気を張ってるみたいで。たまには緩めてもいいのよ」

「ご心配は無用です。休日はしっかりリラックスさせていただいていますから」

「そう? ならいいけど」


 アンナは料理の前で手を合わせた。


「それじゃあ、いただきます」


 フォークとナイフを動かして朝食を口に運んでいく。室内にはエリスの他にも数人の執事やメイドが控えていた。その一人の白髪の執事がアンナに伝える。


「アンナ様、今朝、トラルセン王宮のエドワード殿から知らせがありました。エイバー王国のイワン王子の側室のベアトリスの刑罰が決定したようです」

「…………」


 アンナは手を止めた。視線を皿に落としたまま、その執事の言葉の続きを待っていた。


「ベアトリスはアンナ様の暗殺を企てていた以外にも、数々の悪事を裏でおこなっていたようです。エドワード殿はそれらを暴き、ベアトリスの処刑が一週間後に執行されることになりました。断頭台による斬首刑です」

「…………、……そう。イワンは?」

「イワン王子は、エイバー王国の外れにある屋敷の地下に幽閉されるようです。王位継承権は次男のシャルル王子に移されることになりました」

「…………。分かりました。報告、ありがと」


 執事が下がり、テーブルそばの所定の位置に戻っていく。アンナは独り言のようにぽつりとつぶやいた。


「死の偽装、か……」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ