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【白い結婚 -王女ですが婚約者に他に愛する女性がいると言われました-】  作者: ナロー
第2章 アンナの自立

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14 開店準備


 そんなこんなで厨房に到着したアンナとエリスが目撃したのは、店長の言ったように忙しなく動いている店員達だった。


「こっち焼き上がったよ。次の入れて。火加減と時間間違えないように」


 や、


「こっちのクロワッサンにチョコ入れて。あ、そっちはリンゴデニッシュだからリンゴを入れて」


 などといった言葉が飛び交っている。パン生地をこねる者、具材の調理や準備をする者、焼き上げる者などと、それぞれで役割分担してスピーディーに作業をおこなっていた。

 それらの全体の様子を監督しつつ作業もこなしていた女性に店長が近付いていき、気さくに声をかける。


「や、どう、調子は?」

「あ、店長。大丈夫です、今日も朝のパンは間に合いますよ」

「それは良かった。あと紹介するけど、彼女達が今日から入ってきた子達だから。友達同士みたい」

「そうですか」


 監督の女性が目を向けて、アンナが慌てたように、エリスは落ち着いた様子で頭を下げる。


「よ、よろしくお願いしますっ」「よろしくお願いします」

「こちらこそよろしく」


 頭を上げる二人に店長が言う。


「こっちは後もうちょっと掛かるから、二人はとりあえず私と一緒に看板出しとかお店前の掃除とかしようか。みんなへの紹介はその後でってことで」

「は、はいっ」「はい」

「んじゃこっち来て」


 二人は店長のあとをついていき、そして指示に従いながら掃除や看板出しなどの雑用をしていくのだった。



 朝の開店準備が一段落して、実際に開店するまでのちょっと空いた時間にアンナとエリスの紹介がおこなわれた。また店長を含めた店員達もそれぞれ自己紹介していった。

 店長の名前はロールといい、監督役の女性はデニーという名前だった。他の店員達もそれぞれ名乗り、アンナはそれらを間違えないように頭に叩き込んでいた。

 そんなアンナの様子に気付いて、店長が屈託なく笑いながら言う。


「まあまあいきなりみんなの名前を全部覚えろって言ってもねえ。みんな胸に名札付けてるから、忘れちゃった時はそれ見ていいからね」

「あ、はい……」


 そういえばと思ってアンナは自分の胸にも付けていた名札を見る。そこにはアンジェ=ハイトという名前……現在名乗っている偽名が書かれていた。

 アンナの名札にはその名前しか記載されていなかったが、店長の名札には『パン屋ブレッド店長』、監督役の女性の名札には『マネージャー』、他の店員達もそれぞれの役職が併記されていた。

 店長が言う。


「そいじゃ、アンジェさんとエリスさんの指導はデニーに任せるね。二人だけど、デニーなら出来るっしょ」

「出来なかったら店長にぶん投げます」

「あはは、言うねぇ」


 店長が笑い、他の店員達も笑い声を漏らす。監督役でマネージャーのデニーだけがやれやれと溜め息を吐いていた。



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