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【白い結婚 -王女ですが婚約者に他に愛する女性がいると言われました-】  作者: ナロー
第2章 アンナの自立

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13 新兵


 そして二日後、アンナとエリスの仕事初日。じいやにパン屋の近くに転移させてもらったあと、二人は遅刻することなく無事に職場に到着していた。

 別れ際にじいやが、


『くれぐれもお気を付けください』


 と言い、アンナも背中越しに後ろ手を小さく振りながら、


『分かってるって、パン屋さんに迷惑かけるようなことはしないから』


 と答えていた。じいやが注意したのはアンナの身辺のことであったが、彼女自身は自分のせいで周りの迷惑にならないようにと思ってのことだった。

 パン屋の正面入口はまだ閉まっており、面接に合格したときに言われた裏口に回ってなかへと入る。初日ということだからか店長が待っていてくれて、彼女の案内の元、アンナ達は更衣室に行って用意された制服に着替えたのだった。


「わぁ、お客さんとして来たときも思ったけど、可愛い制服よね」

「そうですね」


 嬉しそうな顔をするアンナと、普段と同じく真面目な顔のエリス。二人の反応に店長は微笑んでいた。


「気に入ってもらえて良かったわ。それじゃあついてきて」

「「はい」」

「みんなはもう朝に出すパンを作っててね、こっちよ」


 歩き出す店長のあとを二人はついていく。アンナとエリスは初日ということでいまの時間帯の出勤になったのだが、本来はもっと早く出勤してパンを焼き上げるのだった。

 そのことに気付いたアンナが申し訳なさそうに言う。


「あの、なんかすみません、私達ももっと早く来てパン作りをするべきでしたよね……」

「いいっていいって、気にしないで。初日なんだから、まずはみんなの様子を見つつ覚えていくようにしないと。新兵をいきなり戦場のど真ん中に放り込むわけにはいかないからね」

「し、新兵……? 戦場……?」


 いきなり出てきた物騒な単語に、思わずアンナは聞き返してしまうが……店長は笑って受け流すとそのまま廊下を歩いていく。いったい奥でなにが起きているのかとアンナは内心どきどきしていたが、エリスのほうは至って落ち着いていた。


(朝はどこも忙しいですからね)


 アンナの屋敷での使用人業務もまた、やることが多くて大変なのである。いまはもう慣れてしまってそつなくこなしているが、使用人として仕え始めた当初は目が回るような思いをしたことを思い出していた。


「あ、でも明日からはみんなと同じ時間帯に来てもらうからね。少しずつでも出来るようになる為に、ちゃんと教えていくから」

「は、はい」「はい」


 振り返って笑顔で言う店長に、アンナとエリスはそれぞれ返事をするのだった。



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