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嚢頭類ってなんだ?

嚢頭類Thylacocephalaは、シルル紀から白亜紀前期にかけて知られる奇妙な節足動物である。2025年にようやく大顎などの、甲殻類であろうと示唆される詳細な付属肢が知られるようになった。胸部付属肢と腹部付属肢の分化がみられることや節数からは軟甲類との関連が疑われるようになってきている。ただし、とくに古生代における嚢頭類の形態的多様性は非常に高いようであることから、ここでは甲殻類であるとする確証が得られた以上の類縁関係については深くは踏み込まない。一般的には、巨大な目と3対以上の巨大な捕獲用付属肢、フラップ上の胴部付属肢をもつ多くの胴節が(通常の場合)二枚貝状に甲皮にすっぽりと包まれている。

甲皮にはたいていの場合複雑な隆起や皺が張り巡らされており、種によってはそこから感覚毛が生えていた。一部の種では甲皮の背部に線状に配置される孔が開いており、発光器の可能性が指摘されている。(あまり有力な説ではないが、しかしその配置はかなりそれを思わせるものがある。)そのことから、今回はこれを発光器と解釈し、その配置から上下逆さまでカウンターシェーディングとして働くとして復元することとしてみた。


嚢頭類は様々な環境から知られているが、外洋のかなり深い海底から知られているものも多い。そもそもまともに泳げたのか?という点を含めて、いまだにどのようなニッチにいたかどうかには議論がある。

日本では、南三陸から近年多数の標本が発見されており注目が集まりつつある。世界的にも研究が盛んになりつつあり、作中でも触れた視覚に関しての研究や感覚毛に関しての研究をはじめとして様々なことがわかりつつある。分類に関しても、少なくとも甲殻類に(多かれ少なかれ)関係のあるグループではあるらしい。

今後様々なことがわかってきそうな、古生物学的にはホットなグループといえるだろう。南三陸に行った際は、是非とも、しわしわの甲皮を見てこの謎めいた生物に思いをはせていただきたい。

*カンブリア紀のZhenghecarisを嚢頭類とする意見があるが、これは否定的であり、復元の向きが90度異なる(前後軸と思われていたのが左右軸であった)しかしながら、それが何であったのかは諸説ある。Radiodontであるとする説があるがこれにも筆者は疑念を抱いている。

Laville, T., Forel, M. B., King, A., & Charbonnier, S. (2025). Synchrotron X-ray tomography sheds light on the phylogenetic affinities of the enigmatic thylacocephalans within Pancrustacea. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 292(2058).

Broda, K., Hegna, T. A., & Zatoń, M. (2015). Thylacocephalans. Geology Today, 31(3), 116-120.

Vannier, J., Schoenemann, B., Gillot, T., Charbonnier, S., & Clarkson, E. (2016). Exceptional preservation of eye structure in arthropod visual predators from the Middle Jurassic. Nature Communications, 7(1), 10320.

Broda, K., & Zatoń, M. (2017). A set of possible sensory system preserved in cuticle of Late Devonian thylacocephalan arthropods from Poland. Historical Biology, 29(8), 1045-1055.

Zeng, H., Zhao, F., Yin, Z., & Zhu, M. (2018). Morphology of diverse radiodontan head sclerites from the early Cambrian Chengjiang Lagerstätte, south-west China. Journal of Systematic Palaeontology, 16(1), 1-37.



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