コノドント編あとがき
あとがきが長くなりすぎて、見栄えが悪いので、独立EPとして投稿。
コノドントのサイズ感は、ヤムシそのものです。
細さも体型もヤムシと同等であり、よく描かれる不透明な姿にはサイズ上なりにくいと思われます、というところからのエピソード。
もしコノドントを不透明にするなら、体高2~3㎜の生物を完全に遮光する仕組みが必要になり、サイズやニッチからしても極めて不自然ですから、透明であるとして考えたほうが自然です。
なお、透明な脊索動物・脊椎動物では虹色の光沢は普遍的にみられます(ナメクジウオやイワシの稚魚など。)透明度が高く何もかも透けて見えてしまうと考えざるを得ないサイズ帯です。
鰓が見えないということに関して、コノドントの鰓弓や鰓裂がはっきりと認識できない問題は類縁関係を巡る議論で問題とされる場合があります。少なくとも発達した鰓は持っていない可能性があります。そもそも、プランクトン性の、ヤムシサイズで成熟する細長いプランクトン性の生物と仮定すると、発達した鰓を失う可能性は大ありです。すべてのコノドントがそうでなくとも、失ったコノドントがいても何ら驚きではない。
Anguiformなうねうねした運動はこのサイズ帯で成熟する生き物としては不利になる可能性が大で(より大きな生き物の動き方です)、むしろ動きもヤムシのようなものと考えたほうがよさそうです。
多少体をしならせて泳いだかもしれませんが、おそらくウナギ状の行動は間違っています。
コノドントの筋節はV字状であり(そのように見える)、全体で一様に曲げることには向いていますが、連続して複雑な運動を続けることには不向きです。(ナメクジウオなどがいい例です)となると、やはり、側方に浅い、サインカーブに似た(厳密にはそうではないが)単純な動きをするだけの運動が向いていると思われます。
ウナギ状の、大きくうねうねと複雑にくねらせる運動には絶望的に向いていません。
ウナギの運動は体を局所的に大きくくねらせることによって渦環を作り、それを左右にジェットとして撃ちだしていくようなもので、大型で粘性の影響が低い環境の泳法です。線虫に見られるようなサインカーブを描いて粘性の強い小スケールの液体中を搔き分けるような動きとは全く違います。
粘性の強い中ではその粘性を生かして水中に長く、省エネに滞在するほうが合理的です。活発に泳ぐ必要はあまりないです。とくにこのことは、浮袋をもたないことが確定的なコノドントにとっては重要です。
泳ぎだす際や餌に飛びつくときはCスタートで飛びつくとしました。これはカタクチイワシ稚魚など似たサイズ感の生物で見られる捕食法ですし、比較的単純な構造でも実現可能です。小型生物にとっての粘性が高い水中では、口を開けて泳いだり、水を吸い込んで摂餌するのは得策ではありません。
本文中ではS-エレメントが回転すると書きましたが、S-エレメントは外方にかけてやや湾曲しており、突出するとともに回転するように餌を引っかけ引き込む構造のようです。もっと複雑怪奇なモデルが提唱されているのですが、凝りすぎずにより単純な形で描きました。
なお、巨大コノドントのPromissumはコノドントの中でも外れ値に近い大きさ、かつ寒冷化が進んだ時代の寒冷な水域の生物であることに留意が必要です。ふつうコノドントは5センチ程度かそれ未満の生き物であり、そのスケール感に準じた復元がなされるべきでしょう。




