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石炭紀紀行(鱗木SF・改)  作者: 夢幻考路 Powered by IV-7
海洋編(1)石炭紀で磯遊び
200/229

―作者のひとりごと―ペアコカリス回について―

前回はペアコカリス回でした。

形態などに関しては概ね前回やってしまったので、深追いはしません。

再記載があればいろいろ変わるでしょうね…。

まあ、ロフォガスター類にしてもアミ類にしても面白い話の宝庫だと思っているので(アミは特に素晴らしい。語る点が多すぎる。特に現生種の生態がすさまじく面白い。)、その源流にあたるペアコカリスやピゴケファロモルフに関しても語らねばならないのです。

そしてカニやロブスターよりもエビが好きで、特にCaridoid appearanceをとればとるほど好感度が上がっていく作者なのでして、はい、というわけでペアコカリスはやらねばならないな、と思いました。

まずは環境ですが、ペアコカリスはメゾンクリークですら保存が悪いので、(本文中にも書いたけどGhost-like preservation)ほかの産地ではまあ残りにくいかと思います。より硬い印象のベロテルソンなんかとは違います、もっと柔らかくてふにゃっとした「えび」です。

さらにエセックス動物群に属するので、おそらく淡水よりも海水よりの生物だったはずです。メゾンクリークの海生生物は移動能力に富むようなものは出るので、そう言った一員だと思います。

アミ類の場合は塩分濃度に応じて外見では区別困難なほど近縁な複数種が分布する場合があり、また塩分濃度にかまわず極めて広い塩分濃度耐性を持つものもあります。中には遡上する習性があるものまで。

淡水エビにしても近縁種が汽水域から海水域までいる場合があるので、そういった場合もかんがみて。

たとえば磯で最も一般的なエビは日本ではイソスジエビでしょうが、これは汽水域を主な分布域とする筋エビ属の、もっとも外洋よりに分布する純海生種です。

まあ、あからさまな海成層からもP. acanthouraeaが記載されているのですが、それがPeachocarisとされた根拠はいまいち怪しいように感じたので安易に採用することは避けました。


――となると、磯にいるという話でよいのかな、と。


さて。

これってどういう生き物だ?という際に、もとになる復元図イラストと化石の概形がどうも全然違うぞ?となることは割とあって、まずお絵描きからイメージしなければいけないことがあります。


Peachocarisはそのいい例で、ロフォガスター類とされているけどそれの根拠とされる形質がどれもこれも祖先形質的ではっきりしないなあ、というのと、さらには復元図のアウトラインが実際の化石と全然違うことに気づきました。

とくにアウトライン、とくに腰の折れ加減や額角の長さや概形は現在の生物をぱっと見で見分けるには最重要ポイントと言っていいので、描写の前にハッキリさせておきたいです。


さらにはその微妙なラインの違いから、古生態や動きが見えてくるので、納得できない復元図をそのまま採用して古生物を描写するわけにはいかないです。


さらにインターネット上に上がっている化石写真にも、どうやらPeachocarisではないものの写真がPeachocarisとして掲載されている場合もあり…非常に困りました。


ロフォガスター類と言い切れないのでは?という疑問に関しては、Paginato et al. 2020(https://doi.org/10.1111/let.12382)ではっきり指摘されていたのでそのあたりに関しては非常にスッキリしました。(P. acanthouraeaがなぜPeachocarisとされるかについても怪しいぞ?という私の疑問についてもやはり指摘されていたので、みな思うことは同じだなあ、と思いました。大変ありがたい…。)

しかしアウトラインの問題に関してはやはり自分で描き直すしかない、ということで、化石をトレスして形態を大まかに割り出し、入手できる(というか同一種だと納得できる)化石写真を集めてそれに納得いくラインを割り出していき…そんな描き直しに時間を撮られ原稿が進まず…という感じで、正直めちゃ重い1回でした。


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