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―ESSAY 後期石炭紀におけるパンゲアの形成についてー

後期石炭紀、モスコビアン。

ボリビア南部、現タリハ盆地からブラジル北部、現パラー州へと向かう、延々と長いフライト。

機窓を眺めながら、ペン先が走る――ノートに書きつけられていた、原稿。

世界の大陸がいま、ひとつになろうとしている。

ひとつになろうとしている、と書いたのには、わけがある。

後期石炭紀のパンゲアは、まだ完成していない。パンゲア、なる語が凡ての(Pan)大地(Gea=ガイアGaia)である以上、この未完成な状態をパンゲアと言い切ってしまうのは、どうにもあまり、いい気がしない。東岸では南北の中国地塊とシベリア大陸が、まだ古テチス海を取り囲むように、巨大な島々をなしていた。

北東においてシベリアと東欧を隔てるウラル海は、まだ細い海路をのこしている。

東岸においてなおパンゲアと呼ぶべき事態が発生するのは、ペルム紀になってからのことである。


いっぽう、大陸の西側においては、パンゲアの形はもう、かなり出来上がっている。

現在のイングランド、ウェールズ、カナダの一部をなすアバロニア大陸、東欧の大部分をなすバルチカ大陸、そして北米の大部分をなすローレンチア大陸は、デボン紀には衝突して、ユーラメリカ大陸をなしていた。現在のイベリア半島を除くヨーロッパと、北米をくっつけた、「ヨーロッパ+アメリカ大陸」というものである。

これらの衝突によってそびえたったカレドニア山脈のふもとは、我々の祖先となる四足動物を生んだゆりかごであったともいわれる。

――ユーラメリカなくして、四足動物なし。

地政学的にも、極めて興味深い。

皮肉にも3億6000万年後、このユーラメリカ大陸一帯を、“新大陸の発見”と称してヨーロッパ白人文化が席捲するのである。

あとにも述べるが、同じ新大陸とはいっても、ゴンドワナに属した南米には、同じくゴンドワナに属したイベリア半島の民が入植し、しばしば混合文化をなすのは、偶然だがあまりにも興味深い対称をなしている。


さて、南半球に目を向けよう。

ユーラメリカが「衝突によってできた大陸」であるとすれば、ゴンドワナは「分裂に取り残された大陸」と言えるだろう。

少なくともカンブリア爆発以降、古生物の時代(顕生代)においては、そうであった。

古生代においても東部ゴンドワナからは南北の両中国大陸やインドシナが分離、北上し、後期石炭紀においては古テチス海に浮かぶ巨大な島々の列―まとめて、カタイシアCathaysiaとよぶ―を形成し、古テチス海を緩く取り巻いていた。

そして中生代にはとうとう、南極、インド、オーストラリア、イベリア半島、そして南米とアフリカに大分裂して、その姿を失った。

つまり、後期石炭紀の時点において、西部ゴンドワナをなす南米とアフリカはしっかりと抱き合っていて、離れようもなかったし、ゴンドワナはひとつの古く、巨大な超大陸として、南半球に君臨していた。


さて――石炭紀におけるパンゲアとは。

北側のユーラメリカ大陸と、南側のゴンドワナ大陸が衝突した姿である。

デボン紀にはゴンドワナは北上して北米およびユーラメリカに迫り、そこに挟まれたレイク海Rheic oceanは石炭紀前期には消滅、中央パンゲア造山帯(バリスカンーアレガーニーーワチタ造山帯)が形成されることとなる。

↑北

北米+ヨーロッパ=ユーラメリカ|ウラル海|シベリア大陸

~~~~~~~~~~~~~~~|        

中央パンゲア造山帯      | 古テチス海  |カタイシア

~~~~~~~~~~~~~  |

南米+アフリカ+南極+インド+オーストラリア=ゴンドワナ

↓南

このような姿になる。

私たちはいま、そんなパンゲアの西岸を旅している。

南米は今の地理とほとんど変わらず、ゴンドワナの西端に、こびりついていた。

(後期石炭紀における南米の気候について、に続く)


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