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石炭紀紀行(鱗木SF・改)  作者: 夢幻考路 Powered by IV-7
凍てつく地でも、採集を。
138/232

メガラクネ

チリン。

鈴が一瞬鳴るとともに、私たちはもう、竿の先しか見ていなかった。

「…いま、鳴ったよね」

「…うん」

また、1分ほどが経つ。

チリン、チリン、チリン…

鈴は何度も、鳴り続けた。

アリアが竿をしっかり持って、いう。

「…合わせる?」

「いや…まだ、じゃないかな。あとカメラ、撮り始めるね」

「今の、撮ってなかったの⁉」

「うん、録画開始されてない」

「はぁ~…やらかした、私らしくもない…あと、なんかどんどん引いてきてるんだけど」

「竿曲がってる?」

「もう少し、ね…お、曲がった!」

ぐい、と大合わせする。

「なんか軽くなったけど…バレた?」

「いや…でもすっぽ抜けてないでしょ」

「そうね…なんかただ重い」

「上がってる?」

「上がってる」

私はネットを出して、堤防を覗き込んだ。

「まだ見えてない」

その瞬間、竿がまた大きくしなる。

「うわ、また重くなった!底にへばりついた?いったんアワせる!」

そう言ってまた竿が、ぐいとしなる。網を掲げたところに…見えてきた。

「OK、見えた。ネットイン…よし!」


ネット越しに、がさがさと動く何かを感じる。大きさは35㎝といったところだろうか?ごそごそと網の中を這いまわって、どんどん這い上がってくる。

しかしようやく・・・

「上がった!」

跳ねこそしないが、伊勢海老によく似ている。少し、ヤシガニを思わせるところもあった。大きめの亀くらいのサイズ感。

現生カブトガニと大きさはあまり変わらないが、よりずっと、足が長い。

突出した、台形の鼻面に、丈の高い前体…背中には、丸い甲羅のような。

それは――メガラクネMegarachneであった。


「うわ凄い!陸でもガサガサ這い回る!」

網から這い出してきたので、上からぎゅっと押さえつけると、驚くほど力強く足を動かして逃れようとする。網でもう一度くるむも、今度は網に穴をあけそうだ。


ひとまず、ライトトラップのあたりまで持っていく。

これで、すぐ川に戻ってしまうことは――ひとまずないだろう。


前方の脚には特殊な、剛毛の付いた棘が並んでいる。

「この脚で、魚掴んでたよね…でもこれ、そういう構造?むしろ、掬い取るみたいな…」

「うん、あまり、捕食者という感じでもないというか…日和見的に魚も食べる…とか?」

「うーん…やっぱり生きた姿を見ないと、形からは想像もつかないこと、あるよね」

「…見れば見るほど、わからないことが増える…陸のものか、水のものかもよくわからない。」

体を引きずって歩く姿は、やや、ヤドカリにも似ていた。

「案外、昼間は陸に上がってたりして。」

「明日の昼までに、見つけられるかな…」


気づけば、空の向こう側が、うっすら紺色に染まり始めていた。

そして、紫色へと、徐々に色味を変えていった。


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