―描写を支える科学的背景― シダがいない(解説編)
では、現在連載で取り上げている石炭紀ゴンドワナ、特に南米の植生について、ようやく重い腰を上げて見に行くことにしよう。
ブラジルのイタラレ層群において寒冷な、氷期のツンドラ気候において確認されるのは、リンボク類に近い小葉植物の胞子(同型のものがBumbudendronから確認される)、トクサ類、そしてコケ植物である。
やや温暖な間氷期の植生にしても、シダ種子植物、コルダイテス類に似た裸子植物、木本性小葉植物、トクサ類、針葉樹(やや時代を降るが)。
ボリビアのタリハ盆地においてはシダ植物に相当すると思われる胞子も見つかってはいるが、いまだそれに相当する植物化石は見つからず(胞子は微細な違いをよく反映するが高次分類には弱い傾向がある)。
アルゼンチン西部の植物化石をみてみても、小葉植物、トクサ類、シダ種子植物、コルダイテス類に似た裸子植物、類縁不明の裸子植物、パウロフィトン、分類が難しいスフェノプテリス型の葉である。
パウロフィトンはそもそもシルル紀的な植物の姿をとどめてしまっている植物なので、これをシダだというのには極めて苦しいものがある。
概していえば、後期石炭紀の前半において、アルゼンチン西部とブラジル南部においてはトクサ類以外の大葉シダ植物は見られない。
南米のほかの地域についても高緯度地帯を調べてみても、トクサ類以外で確実な大葉シダ植物の記録はやはり見つけることができず、植生の主要要素にトクサ類以外のシダ植物がいなかったようである。
Bernardes-de-Oliveira, M. E. C., Kavali, P. S., Mune, S. E., Shivanna, M., de Souza, P. A., Iannuzzi, R., ... & Ricardi-Branco, F. (2016). Pennsylvanian–early cisuralian interglacial macrofloristic succession in Paraná Basin of the state of São Paulo. Journal of South American Earth Sciences, 72, 351-374.
Césari, S. N. (2023). The late Serpukhovian-earliest Moscovian flora from westernmost Gondwana. Review of Palaeobotany and Palynology, 317, 104969.
Di Pasquo, M. M. (2007). Update and importance of the Carboniferous and Permian paleontological records of the Tarija Basin. In European Meeting on Paleontology and Stratigraphy of Latin American (No. 4, pp. 107-112).
Ricardi-Branco, F., Costa, J. S., Souza, I. C. C., Rohn, R., LONGUIN, M., & Faria, R. S. (2013). Bryophytes associated with Pennsylvanian periglacial environments in southern Gondwana (São Paulo State, Itararé Group, Paraná Basin, Brazil). Bulletin, 60, 343-347.




