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世界情勢エッセイ

アメリカ「相互関税凍結」の真の狙いは?

作者: 中将

◇アメリカの「相互関税」の意図



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回はトランプ大統領が「相互関税を90日間停止」したことについて個人的な意見を述べていこうと思います。


 トランプ大統領はかなり型破りな方なので胸の内までは分かりませんけどね。



質問者:

 相互関税が発動したと思ったら、13時間後にあっという間に停止ってどういう事なんですか……。


 というか、トランプ大統領はどうして相互関税をかけようとしているんでしょうか?



筆者:

 まずは貿易不均衡の是正です。


 2024年の貿易統計ではアメリカは1年間で185兆円の貿易赤字になっていまして、1位は日本円に直すと45兆円ほどで中国、日本は10兆円ほどで7位となっています。


 これによりアメリカ国内産業は衰退の一途をたどっており、

 皆さんもご存じの通りUSスチールが日本製鉄に買収される寸前の状況までなっているわけです。



質問者:

 でも、関税をかければ間違いなく物価ってその分上がると思うんですよ。

 関税分値段が上がるか、手に入りにくくなるかだと思いますからね。


 それって「アメリカ・ファースト」の旗印に反しませんかね?

 


筆者:

 トランプ大統領は関税を財源に個人の所得減税などを狙っています。


 また、物価高は鉱物資源を掘ることで対策しようとしています。

 現状、「シェール革命」によって掘る技術はあるものの、地球温暖化を名目にバイデン政権が掘ることを凍結していました。


 これが上手くいくのかは僕には全く分かりませんが、ある程度勝算があると思って実行しているのだと思います。


(トランプ大統領も緊縮財政派と言うのは既存の価値観を破壊するイメージからすると意外な気もしますけど)



◇真の狙いは「敵対国炙り出し作戦」



質問者:

 相互関税の狙いまでは分かったんですけど、たった13時間で撤回してしまったのはどういう事なんですか?



筆者:

 僕はこれは「トランプ大統領のシナリオ通り」と見ています。



質問者:

 え……どういうことですか?



筆者:

 これは密かに「敵対国炙り出し作戦」だったと思っています。


 今回日本を含めほとんど全ての国が相互関税は解除されましたが、

 中国だけは「報復関税」を行ったためにトランプ大統領は「125%に引き上げ」を決断しました。


 正直なところ先ほどの貿易赤字高を見ても中国が抜きん出ていますので、中国からさえ輸入が止まれば十分だという判断なのかもしれません。



質問者:

 そもそもトランプ政権自体が、「中国強硬派」と呼ばれる方が多く閣僚におられるわけですが、どうして中国に対してアメリカはそんなに強気の姿勢なのでしょうか?



筆者:

 アメリカの製造業が中国によって衰退させられているからです。


 トランプ氏の選挙キャンペーンの帽子(MAKE AMERICA GREAT AGAINと書かれたもの)をアメリカ国内で発注したところ、

 大量生産できないために2024年選挙は「中国製」のをやむを得ず使ったそうです。

 つまり、それぐらいアメリカ国内産業は弱っているのです。


 また、中国とのフェンタニルが大量に流入して薬物依存者を大量に出しているのではないか? と懸念しておりバイデン大統領との間で覚書を交わしたのですが、


 そのプランでは薬物流入問題は解決していないとトランプ大統領は証言しています。


 このように、アメリカは中国を「目の敵」にする要素と言うのは貿易赤字額以外にも多分にあるわけです。


 ただ、今回は中国だけが抵抗しましたが、他の国も「報復関税」をかけてきたりした場合は「更に引き上げ」と言う事をすかさずやってきたと思います。


 この相互関税の対応を見て「敵対国の炙り出し」を図ろうとしていたのだと思います。


※ただし、中国の供給分を賄うだけの輸入先の確保またはアメリカ国内の生産力向上がすぐできるとは限りません。アメリカは供給力不足のインフレになる可能性があります。



質問者:

 なるほど……。


 中国もしかし全面的に抵抗する構えですよね……。

 「メンツの国」と言われているだけのことはありますね……。


 今後この2か国はどうなってしまうのでしょうか?



筆者:

 エスカレーションの終着点は中国をスイフト(Swift)から外すことだと思います。


 ドル決済が出来なければ従わざるを得ない状況になるか独自の経済圏を築くことになると思いますが。  今、「一体一路」も瓦解気味です。


 中国もウイグル問題や技術を盗む問題などで安く提供して市場を席捲してきたわけですが、ついに締め出しを食らう可能性が出てきたという事です。



質問者:

 でも、ロシアってスイフトから外れても戦闘が続けられているじゃないですか?


 あんまり意味が無いのではないですか?



筆者:

 確かにロシアは3年以上戦闘が続けられており、思ったよりも継戦能力が高いです。

一見すれば「無風」に見えます。


 しかしロシアは農業大国、鉱物大国だから耐えているんですね。

 物価高に苦しんで通貨安にもなり、物々交換で何とか国民は凌いでいる状況のようなのでノーダメージでは無いです。


 中国の自給率は70%ほどと言われており、日本が酷すぎるだけで自給率100%を切っているだけで人口12億を持つ大国としては問題です。


 スイフトを外された「同志」になるであろうロシアから輸入するにしても、足元を見られて高値に吊り上げられるだろうと思います。


 スイフト外しは「経済の核兵器」とかつて言われていたほどでは無いにしろ、効果は確実にあると思いますよ。



質問者:

 でもこのまま中国が折れない可能性が高そうなので、そうなりかねないですね……。



筆者:

 僕としては「日本がアメリカと貿易戦争をした70年代で全面抵抗した世界線」というのが中国のお陰で見えるかなと思って興味深く見守ろうと思っていますけどね(笑)。


 もう一つの意図としてはその手前で実行されました「相互関税10%」と言うのを定着させるためです。



質問者:

 え! 全部の相互関税が凍結されたわけじゃないんですか?



筆者:

 いえ、4月9日に発動した「上乗せ分」だけが凍結しただけで、4月5日に世界共通で出された10%については凍結されていません。


 密か「10%を通すのが本命」で上乗せ分に関してはアメリカにとって有利な条件を引き出すために「見せただけ」の可能性が高いように思います。



◇中国以外の国の相互関税は「これから」



質問者:

 確かに上乗せ分と合わせて34%が日本に課されるはずが10%で済めば「良かった」と言う事になりかねませんからね……。


 だから筆者さんは「計画的だ」と最初におっしゃっていたわけなんですね……。



筆者:

 これだけの大きな相互関税を課せば株価が大暴落することは目に見えていましたからそれを避ける必要があると思いました。


 トランプ氏の支援者にはビックテックも存在しているために株価については非常に注視しているんですね。


 この乱高下「インサイダー取引」とする見方もありますけど、どうなるかは全く不透明でしたし暴落した後上がるのは相場としての「定跡」でもありますからね。


 トランプ大統領は1次政権の時に数少ない「在任中に資産を減らした大統領」だったので、思ったより自己に利益誘導はしないタイプだと少なくとも僕は思います。



質問者:

 「トランプ大統領の発言で株価が動いた」というのは? 結果だけを見た場合と言う事なんですね。



筆者:

 流石に普通はここまで動きませんからね。投機の動きは誰もが思った以上だったと思いますよ。

 これまでも”爆弾発言”は多かったものの株価はそれほど動きませんでしたからね。

 

 ただ、投資を専門にやられている方にとっては「たまったもんじゃない」という感じだと思いますけどね。

 皆さんが行っているような積み立てNISAなどに関して言えば長期投資で見ればさほど変わりないので「一喜一憂しない」ことが大事だと思います。


 しかし、トランプ大統領も相互関税について市場動向を見て世界同時に大幅引き上げをやるかも? から今回の「観測気球」でゼロに近くなったという感じでしょうね。



質問者:

 話は戻りますけど、中国以外の国は10%からの上乗せ分についてもう安心して大丈夫と言う事なんですか?



筆者:

 いえ「凍結」なので「撤回」では無いという事を注目しなければなりません。


 むしろ「凍結された90日」の間の相互関税交渉次第で上乗せ分の関税の税率が変わると思います。


 アメリカのベッセント財務長官は4月8日に日本との関税交渉について「日本は非常に早く交渉に名乗りを上げたので優先される」と述べていることから、

 焦って泣きついたことが功をする可能性はあります。


(そもそも日米首脳会談が上手くいっていれば泣きつく必要も無かったと思いますけど……)



◇仮に発動した際の日本政府の対応



質問者:

 まだまだ油断が出来ないという事なんですね……。


 ところで、日本政府は相互関税への対応として国民1人あたり3万円~5万円を給付しようという話が出ていますがそれについてはどうなんでしょうか?



筆者:

 もう25年度予算は通ってしまいましたし、予備費でも到底賄いきれません。

 ですから恐らくは秋の補正予算にて検討する段階なのだと思いますね。



質問者:

 でも、どうして減税についてはとんでもなく渋って抵抗しているのに

 給付となるとすぐさま話が出るんでしょうか?



筆者:

 単純に「中抜きが出来るから」だと思いますよ。減税だと一部の経理ソフトが潤う程度で終わってしまいますからね。


 恐らくは親族企業などを介してお金が還流するのだと思います。


 ただ、先日「10万円商品券問題」があったことから「議員には10万円配って国民には4,5万円」と言う見方や「選挙直前の甘い言葉だけで実際はやらないのではないか?」と言った懐疑的な視点も数多く見られます。


 そもそも相互関税以前に、現状で国民生活は苦しいのです。

 相互関税だから現金給付というのはやはり分析が間違っていると言えると思います。


 当然、国民が潤う意味では当然減税の方が手元に残るのでいいに決まっています。



質問者:

 即席的な一時しのぎ的な政策ばかりですよね……。



筆者:

 根本治癒を行い半永続的な発展ができる政策が無ければ、見透かされると思います。


 国民民主党のトリガー条項や所得税の壁引き上げのほうが支持されるのは当然と言えます。



質問者:

 アメリカへの交渉も不安ですが、国内への政策はもっとズレている気がしてなりませんよね……。



筆者:

 世界経済を揺るがすような転換点にいると思います。それにどう対応できるのかがカギだと思うんですけど、日本政府に対して不安感しか無いですね。


 そしてメディアがロクに伝えてくれないので僕が代わりに、僕なりの視点ではありますが伝えていければと思いますので政治経済に興味のある方は今後もご覧くださいね。

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