ハゲ課長
ヒラリヒラリと舞い遊ぶように 姿見せたハゲ課長
ボクの机の真ん前 着きました
喜びとしてのイエロー 愁いを帯びたブルーに
世の果てに似ている左遷先
人事課に尋ねてみた どこまで行くのかと
いつになれば終えるのかと
人事課は答えた 終わりなどは無いさ
終わらせる事はできるけど
そうじゃあ お気を付けてと
見送られたのは ずっと前で
ここに未だ帰らない
同僚がボク自身だと気づいたのは
今更になってだった
家族に会えた それだけで良かった 世界に光が満ちた
家で会えるだけで良かったのに
給料アップを願ってしまった 課長が表情を変えた
左遷先では 『ソラ!』と踏みにじられる
課長が たったひとひらの 令状に込めた
意味をついに知ることになった
そうそれは同僚に できるなら係長に
届けば 良いと思う
もしこれが永久左遷なら
なんて酷いストーリーだろう
昇進する事も 給料ダウンする事もできずに
ただ一人 左遷先に立っているだけなのだから
家族が望むなら この身など いつでも差し出して良い
降りしきる火の粉の盾になろう
ただそこに一握り残ったボクの想いを
すくい上げて心の隅に置いて
家族に会えた それだけで良かった 世界に光が満ちた
家で会えるだけで良かったのに
給料アップを願ってしまった 課長が表情を変えた
左遷先では 『ソラ!』と踏みにじられる
ココだと叫んだハゲ課長 揺らぐその景色の向こう
近付くことは出来ないオアシス
給料アップを下さい 出来たら帰して下さい
ボクの肩を 叩かないでおくれ