Eランク昇格に向けて
シオンは次の目標に向けて動き出すことを決意し、ギルドの掲示板に目を向けた。Eランクに昇格するためには、確実に依頼をこなしていく必要がある。そして、次の依頼を選ぶことはシオンにとって重要な一歩だ。
「まずは、もう少し簡単な依頼をこなして、確実に力をつけていこう」
シオンはそう自分に言い聞かせながら、掲示板に貼られている依頼を一つずつ目で追っていく。いくつかの討伐依頼や護衛依頼が目に入るが、今の自分にとって無理のないものを選ぶ必要がある。すると、一つの依頼が目に留まった。
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依頼内容:
スライム討伐 依頼主: エルバード農場組合
討伐対象: 草原周辺に発生したスライム5体の討伐
報酬: 20銀貨
締切: 1週間以内
備考: スライムは農作物を食い荒らすため、早急な対応を希望します。初心者向けの依頼。
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「スライムか…比較的簡単そうだし、これならシロンとも連携できるかもしれない」
シオンはこの依頼を選び、受付へと向かう。受付にはいつものようにアンナが立っており、シオンが依頼書を持って近づくと、彼女は優しく微笑んだ。
「スライム討伐の依頼を受けるのね。いい選択よ。スライムは初心者向けだけど、油断は禁物よ。数が多いと厄介だし、油っぽい体液で動きが鈍ることもあるから気をつけてね」
「うん、分かってるよ。しっかり準備してから行くよ」
シオンは依頼書をアンナに渡し、必要な手続きを終えた。依頼を受けたら、次は装備の確認だ。幸い、薬草採取の依頼で集めた資金で、ある程度の装備は整えている。ウルフ討伐でも活躍したナイフや防具を手に取り、シロンと共に準備を進める。
「シロン、今度の相手はスライムだ。油断は禁物だけど、僕たちなら大丈夫さ」
シロンは静かにシオンを見つめ、信頼のこもった眼差しを送ってくる。その姿に励まされ、シオンはギルドを出て、討伐に向けて草原へと向かった。
草原に出ると、目の前に広がる青々とした景色がシオンの心を少し和らげた。スライムがいるという話だったが、まだ姿は見当たらない。だが、油断はできない。スライムは不意に現れ、まとわりついて動きを封じることがあるという話を、以前聞いたことがある。
「シロン、気をつけて。周りの様子を見ながら進もう」
シオンとシロンは慎重に草原を進み始めた。すると、少し先の草むらで小さなぷよぷよとした動きが目に入った。スライムだ。体は半透明で、丸みを帯びた姿。シオンはすぐに剣を構え、シロンも後ろから援護の準備をする。
「行くぞ、シロン!」
シオンは駆け出し、剣を振りかざしてスライムに近づいた。スライムは攻撃に対して特に反応する様子もなく、シオンの剣がその体を捉えた。刃がスライムの体を切り裂くと、ぷしゅっとした音を立ててその姿が崩れていった。
「一体目はあっさりだったな。よし、残りも同じように片付けるぞ」
シオンは気を引き締め直し、次のスライムを探し始めた。シロンもその気配を感じ取っているようで、鼻をひくひくと動かしながら辺りを警戒している。
数分後、さらに2体のスライムが現れた。シロンが鋭く吠え、シオンにその位置を知らせる。シオンは素早く動き、今度は二体同時に相手をすることに挑む。シロンの吠え声がスライムを混乱させ、その隙にシオンは剣を振るってスライムを次々と倒していった。
「あと二体か…」
息を整えながら、シオンは周りを見渡した。すると、遠くの茂みの奥に残りのスライムの姿が見えた。シロンと息を合わせ、最後の一戦に臨む。
「よし、これで終わりだ!」
シオンは力強く剣を振り下ろし、最後のスライムを一刀両断にした。スライムは跡形もなく消え、討伐が完了したことを示していた。
「やったな、シロン」
シロンは満足そうにシオンに寄り添い、二人は無事にスライム討伐を終えた。シオンは依頼書を確認しながら、次に進むべき道を考えていた。
「これで報酬ももらえるし、少しずつだけど僕たちも強くなっているはずだ。次はもっと大きな依頼に挑戦できるかもしれない」
シオンはギルドに戻ると、報酬を受け取り、しばらくの休息を取ることにした。シロンも一緒にギルド内でくつろぎ、次の冒険に備える。
こうして、シオンは少しずつだが確実に冒険者としての経験を積み重ねていった。そして、シロンと共にさらなる成長を目指し、次の挑戦へと進んでいくのだった。
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