霧の洞窟4層
霧の洞窟の4階層に突入したシオンは、これまでの階層とは異なる、さらに張り詰めた空気を感じ取っていた。霧の濃さは一段と増し、視界はほぼ完全に遮られている。だが、それでもシオンは冷静だった。シロンとフォグが共にいるという安心感が、彼の心を支えていた。
「気を抜くなよ、シロン。ここからが本番だ」
シオンの声に、シロンは静かにうなずいた。彼らの間には信頼が築かれており、言葉は最小限で済む。シロンの白い体が霧の中でほとんど見えなくなるが、その鋭い感覚は確かだった。
「フォグ、霧を感知してくれ。敵の動きがわかれば、こっちが有利に立てる」
フォグはシオンの言葉に応じて、軽やかに飛び上がり、霧中感知のスキルを発動する。周囲の霧の流れを読むことで、敵の存在をいち早く察知できる。しばらくすると、フォグが羽を軽く動かし、敵の位置を知らせてくる。
「感知完了か、ありがとうフォグ。ポイズンフロッグとフレイムバグか…厄介な相手だな」
シオンは少し思案しながらも、即座に次の行動を決めた。ポイズンフロッグはその名の通り、毒を使った攻撃を仕掛けてくるモンスターであり、油断すれば体力をじわじわと削られることになる。一方、フレイムバグは火を操り、霧の中でも鮮やかに燃え上がる火炎を放つ。
「フォグ、霧操作で敵の視界を遮ってくれ。俺たちの動きを察知させないようにするんだ」
フォグがその小さな体を揺らしながら、霧を巧みに操り始めた。敵の視界はますます不明瞭になり、動きが鈍くなったのがわかる。
「シロン、まずはポイズンフロッグを仕留めるぞ!」
シオンの号令とともに、シロンは低く身を構え、一瞬で前方に飛び出した。彼の敏捷性は4階層に突入する前よりも格段に向上しており、まるで霧そのものがシロンに力を与えているかのようだった。
ポイズンフロッグは反応しきれず、シロンの鋭い牙がその体に深く食い込んだ。敵が反撃する間もなく、毒の危険を回避したまま、シロンは即座にとどめを刺す。
「よし、次はフレイムバグだ。油断するなよ」
シオンは霧剣を握り直し、フォグが霧を操作している間に、フレイムバグの位置を確認する。敵が火をまとった攻撃を放つ前に、シオンは疾風のように前進し、霧剣で一閃する。斬撃が当たると同時に、霧剣の効果でさらに霧が発生し、フレイムバグの炎が一瞬弱まる。
「これで終わりだ!」
シオンはその隙を逃さず、もう一度霧剣を振り下ろし、フレイムバグを撃破した。燃え盛る火が一瞬で霧の中に溶け込み、周囲は再び静寂に包まれた。
「これでポイズンフロッグとフレイムバグは片付いたな。順調だ」
シオンは息を整えながら、仲間たちに感謝の視線を送った。彼の戦術と仲間たちの連携は、確実に成長しているのを感じる。戦いを通じて、シオンもシロンもフォグも互いに頼り合い、強さを高めていた。
「シロン、フォグ、ありがとう。次は気を引き締めていこう」
さらに進むと、4階層の奥に待ち構えていたのは、フレイムバグよりも強力なモンスター、ダークフェアリーだった。その小さな体に宿る闇の力は、シオンたちの霧剣や霧操作による視覚障害を無効化するかのように動き回り、攻撃の隙を狙っていた。
「ダークフェアリーか……厄介な相手だな。でも、俺たちならやれる」
シオンはシロンとフォグに向かって小さく頷く。敵の素早さと魔法攻撃に対抗するには、こちらも連携を最大限に発揮するしかない。
「フォグ、霧操作で周囲をもっと濃くしてくれ。ダークフェアリーを惑わせるんだ」
フォグが霧をさらに濃くし、周囲をほぼ白一色に染め上げる。その中で、シロンが音もなく動き出し、敵の背後に回り込む。ダークフェアリーは霧の中でも敏捷に動いているが、シロンの鋭い感覚はそれを上回っていた。
「シロン、今だ!」
シオンの声と同時に、シロンがダークフェアリーに飛びかかり、その体をしっかりと押さえ込む。だが、敵も反撃に出ようと闇の魔法を放ち始める。
「やらせるか! 霧剣、行け!」
シオンは一気に距離を詰め、霧剣を振り下ろす。その瞬間、霧の力が剣に宿り、ダークフェアリーの攻撃をかき消しながら斬撃が敵に深く食い込んだ。ダークフェアリーは霧の中で消滅し、戦いは終わりを迎えた。
「これで4階層も突破か……順調に来ているな」
シオンは深い息をつき、仲間たちに労いの言葉をかけた。4階層までの戦いを通じて、シオン自身も大きく成長しているのを感じた。シロンもフォグも、その成長は顕著で、次なる階層への準備が整っていることを確信する。
「さて、次は5階層だ。気を引き締めて進もう」
シオンは最後にもう一度仲間たちと共に確認を行い、次の階層への階段へと歩みを進めていった。
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