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冒険者ギルド

 街の中を歩いていると、シオンは気づいた。この世界の看板や標識は、全てが異世界の言語で書かれていたが、なぜか自然に読むことができる。そして、周りの人々の会話も違和感なく理解できている。


「文字も読めるし、言葉も分かる……神様が配慮してくれたのか?」


 そんなことを考えながら、シオンは少しずつ歩みを進め、冒険者ギルドの前にたどり着いた。立派な建物の前には、同じように冒険者らしき人々が行き交っていた。大きな扉を開けると、中は活気に満ちており、受付には多くの冒険者たちが列を作っていた。


「よし、ここで冒険者登録をしよう」


 シオンは意を決して、受付に向かって歩いた。受付嬢は若い女性で、にこやかな笑顔を浮かべていた。


「いらっしゃいませ。冒険者登録をご希望ですか?」


「はい、お願いします」


 シオンが頷くと、受付嬢は笑顔のまま必要な書類を差し出してきた。彼女の指示に従いながら、シオンは自分の名前や年齢、スキルなどを記入していく。すべての記入が終わると、受付嬢は慎重にそれを確認した。


「シオンさん、テイマーとして登録されましたね。ですが、まだレベル1ですので、最初は簡単な依頼しか受けられません。特に魔物をテイムできるまでは、少しずつ力をつけていくことが重要です」


「わかりました。初心者向けの依頼って何かありますか?」


 シオンが尋ねると、受付の女性は壁に貼られた掲示板を指差した。


「こちらに常時受けられる簡単な依頼がいくつかあります。初心者の方には、薬草集めや荷物の運搬などが人気ですね。」


 シオンは掲示板に目を向けると、「薬草集め」の依頼が目に留まった。


□□□□□□□□□□

依頼:薬草集め

場所:ギルド近くの草原

目的:指定の薬草を20本採取し、ギルドに納品する

報酬:銀貨3枚

□□□□□□□□□□


「これにします。薬草集め。」


「分かりました。それでは、この依頼書を持って草原へ行き、薬草を20本採取してきてください。採取した薬草は受付に持ってきてくださいね。報酬は銀貨3枚です。」


 シオンは受付から依頼書を受け取り、しっかりと握りしめた。初めての仕事ということで少し緊張しつつも、自分の成長の第一歩となることに期待を抱いていた。


「ところで、こちらには書庫もあります。依頼に必要な情報を集めるには、ぜひ活用してみてくださいね」


「書庫ですか……それは助かります。ありがとうございます」


 シオンは興味をそそられ、早速書庫に向かうことにした。冒険者ギルドの奥には、知識が詰まった書庫が広がっていた。高い本棚にぎっしりと並べられた書物は、異世界の歴史、魔法の使い方、モンスターの特徴などが書かれた貴重な資料ばかりだった。特に、通貨や物の価値についての知識がないままでは、冒険者としての生活に支障が出るかもしれないと考えた。


「通貨のことをちゃんと調べておかないと、困ることになりそうだな……」


 書庫は静かで、薄暗い明かりが棚に並んだ大量の書物をぼんやりと照らしている。シオンは目当ての情報を探すべく、古びた木製の棚を眺めながら、通貨や経済についての本を探した。


「これかな……『世界の通貨と交易』」


 本の背表紙に書かれたタイトルを確認し、シオンはその本を手に取った。分厚く、少し埃っぽいが、中身はきちんとしていそうだ。木製のテーブルに座り、ゆっくりとページをめくり始める。


◇ ◇ ◇ ◇


この世界の通貨:


・銅貨 - 日常的な小取引に用いられ、主に食品や雑貨、簡単な道具の購入に使用される。1銅貨で簡単な食事ができる程度。


・銀貨 - 冒険者や職人が受け取る基本的な報酬。1銀貨は10銅貨に相当し、普通の宿での1泊や質の高い道具の購入ができる。


・金貨 - 主要な商取引や大きな買い物に使われ、1金貨は10銀貨に相当。貴族や大規模な交易者が主に使用する。


◇ ◇ ◇ ◇


 シオンは読みながら、自分のポケットにある銀貨を確認した。神から与えられた一月分の銀貨が20枚ほど入っているが、どうやらこれでしばらくは十分生活できそうだ。宿に泊まり、食事を取っても問題なさそうだが、冒険者として少しずつ報酬を得ていく必要があると感じた。


「銀貨がメインなんだな。金貨は冒険者としてもっと成長したら使う機会が増えるのか……」


 シオンはメモを取りながら、しっかりと頭に叩き込んだ。次は、依頼をこなした時の報酬がどれほどの価値を持つかも調べておく必要がある。


◇ ◇ ◇ ◇


報酬と生活費の目安:


・簡単な薬草集めの依頼で銀貨1〜3枚程度。 ・1日の食事は銅貨2〜5枚。 ・宿代は銀貨1〜2枚、質の良い宿であれば銀貨5枚程度。


◇ ◇ ◇ ◇


「なるほど、今受けた薬草集めの依頼は銀貨3枚だから、これで宿と食事をまかなえるな……」


 シオンは少し安心した。最初のうちは、無理せず依頼をこなしていけばなんとかやっていけることが分かった。だが、冒険者としての本格的な活動には、もっと多くの報酬が必要だろう。


「これからこの世界で生きていくためには、スキルについても知っておく必要があるな……」


 シオンは新たに一冊手に取り、ページをめくり始めた。この世界でどう生きていくか、そのための手がかりがここにあると確信したからだ。


「まずは、テイムに関する情報を集めないと。どんな魔物がテイムできるのか、どうやって信頼関係を築くのか……」


 時間をかけて書物を読み、情報を集めていくシオン。彼の心には、異世界での新たな冒険が現実味を帯びてきていた。


 しばらくして、書庫を出る前に、シオンはもう一度本を確認し、ページを閉じた。そして、静かに書庫を後にした。これから先、彼の冒険は始まったばかりだが、まずは生活基盤を整えることが第一歩だと改めて感じた。


「よし、とりあえず今の銀貨で生活はなんとかなる。まずは目の前の依頼をこなして、少しずつ冒険者として成長していこう。」


 そう自分に言い聞かせ、シオンはギルドの外へと足を向けた。

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』と『レビュー』をよろしくお願いします。


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