表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/38

プロローグ

「……ここは……どこだ?」


 目を覚ました瞬間、史恩(しおん)は自分がどこにいるのか全く理解できなかった。周りは白い光に包まれ、何もない空間が広がっている。そして、ただ一人の老人が目の前に立っていた。


「やっと目が覚めたか。お前が史恩だな」


 老人の声は静かで落ち着いていたが、どこか重みを感じる。史恩は困惑しながら、状況を把握しようと必死になった。


「あなたは誰ですか? ここは……一体?」


「私は神だ。この場所は、お前が亡くなった後の世界だ」


「死後の世界……?」


 史恩は頭を抱えた。記憶を辿ろうとするが、ぼんやりとしていて、何が現実だったのか、何が夢だったのか曖昧になっていた。だが、確かに覚えている。自分は30歳で過労死したはずだ。長時間働き、家族も友達もおらず、孤独な毎日……気づいた時には、机の上に突っ伏していた。それが最後だった。


「そうだ、お前は過労死した。だが、私はお前の生涯を哀れに思い、新たなチャンスを与えようと思っている」


「新たなチャンス?」


 史恩は思わず神の顔を見つめた。どういうことだ?死んでしまったのに、これ以上何があるというのか?


「お前を異世界に転生させてやる。その世界は、こことは違い、魔法やスキルが存在する。そして、もう一度新たな人生を歩むことができる」


「……転生……異世界?」


 史恩は驚きつつも、心の中で興味が湧いてきた。異世界? そんなファンタジーのような世界に自分が行けるのか?


「ただし、お前には一つ選択肢を与える。異世界で生き抜くためにはスキルが必要だ。お前は一つだけスキルを選ぶことができる。そのスキルを使い、お前は新しい人生を築いていくのだ」


「スキル……か」


 史恩は考え込んだ。自分に合うスキルとは何だろうか? 前世では特に際立った能力があったわけではない。働き詰めで、趣味らしい趣味もなかった。だが……ひとつ、思い出したことがあった。


「動物……俺、昔犬を飼ってたんです。あの犬、すごく懐いてくれて……」


「なるほど、動物が好きか。では、『テイム』というスキルはどうだ? 動物や魔物を手懐け、共に戦うことができるスキルだ」


「テイム……? それなら、いいかもしれない」


 史恩は少し迷ったが、動物が好きだった自分には最も適していると感じた。犬を飼っていた頃の懐かしさと、再び動物と一緒に生きていける喜びが胸に広がる。


「よし、テイムのスキルを選びます」


 神はゆっくりと頷いた。


「では決まりだ。お前はこれから、異世界に10歳の孤児として転生することになる。新たな人生だ、存分に楽しむといい。」


「10歳……孤児?」


 史恩は驚いた。再び孤児からやり直すのか……。だが、今回はスキルがある。きっと前世とは違う生き方ができるはずだ。自分の道を、自分で切り開くことができる。


「心配することはない。お前にはスキルがあるし、強くなれるチャンスもある。ただし、どんな人生を歩むかはお前次第だ。一月分ほどの生活費を与えるので後ほど確認するといい」


「分かりました。やってみます」


 史恩は決意を固め、神に向かって深く頭を下げた。神は微笑み、手をかざすと、史恩の体が軽くなり、視界がぼやけ始めた。


 気が付くと、史恩は異世界の片隅に立っていた。目の前には見慣れない建物や風景が広がっており、自分が本当に10歳の少年の体になっていることを実感した。体は軽く、すべてが新しい。


「ここが……俺の新しい世界か」


シオンは目の前の現実をゆっくりと受け入れつつあった。そして、今の自分がどういう状況にあるのかを確認するため、懐に手を入れた。すると、指先に硬貨の感触が伝わってきた。


「これ……銀貨か?」


 手を開くと、そこには輝く銀貨が20枚ほど入っていた。神が言っていた「一月分の生活費」というのはこの銀貨のことだろう。見た目からして、質素な生活には十分すぎる額だと感じた。


「とりあえず、しばらくはこれで生活できるな……まずは、冒険者ギルドに行ってみようか」


 史恩はゆっくりと周りを見渡した。異世界の空気は澄んでいて、まるで冒険が始まる予感がする。まずは、生活の糧を得なければならない。冒険者としての生活が、最も現実的な選択だろう。


「そうだ、ステータス確認とかできるんじゃないか?」


 試しに心の中で「ステータス」と唱えてみる。すると、目の前に透明なパネルのようなものが現れた。そこには、自分の状態やスキルが詳しく書かれていた。


名前: シオン

年齢: 10歳

職業: テイマー(初心者)

レベル: 1

HP: 50/50

MP: 30/30

力: 10

敏捷: 12

知力: 14

スキル: テイムスキル(初級)


「これが……俺のステータスか。名前はこの世界に合わせたものになっているのか。『テイムスキル』がちゃんとあるな……でも、やっぱりレベル1なんだよな」


 まだ力も弱く、テイマーとしての実力もこれからだということが一目で分かった。だが、この世界での新たな冒険が始まることを考えると、シオンの胸は少しだけ高鳴った。


「よし、まずは冒険者ギルドに行って、登録しよう」


 シオンは自分が置かれた状況を考えながら、冒険者ギルドの建物に向かった。冒険者としての第一歩を踏み出すことが、新たな人生を切り開くための最初の一歩だと信じていた。

ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク』と『いいね』と『レビュー』をよろしくお願いします。


気に入った! もっと読みたい! と思いましたら評価お願いします。

下の ☆☆☆☆☆ ⇒ ★★★★★ で評価できます。最小★1から最大★5です。


『★★★★★』なら執筆のモチベーションが上がります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ