その③
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前略
ソフィーさん、お久しぶりです。
コヤックに戻ってもう半年が経ちました。お店の方はなんというか……患者さんが来なくて閑古鳥が鳴く毎日です。いまさらですがわたしたちのお給金をやり繰りしてくれていたソフィーさんが凄いなって思いました。
それはそうと、2人目が生まれたそうですね。リリアさんが教えてくれました。おめでとうございます。あ、でも『納得いかない』ってリリアさんが言ってしましたけど、なにがあったんですか?
ソフィーさん、わたしの夢を叶えてくれてありがとうございました。お店がまだ軌道に乗ってないので里帰りはまだ出来そうにないけど、いつか必ずお店に行きますね。その時はまたいろんなことを教えて下さい。
追伸 春になったと言えまだ肌寒い日が続きますね。風邪とかひかないで下さいね。
サラ・オレイン
「――風邪ひかないで、か。ちょっと遅かったな」
「うるさい……コホッ」
「はいはい。薬置いとくぞ」
「……ありがと」
ベッドの中の私は娘を背負いながら看病してくれるエドにお礼を言い、早く部屋から出た方が良いと退出を促します。
「あとは大丈夫だから。リリアにうつったら大変だし」
「そうする。それじゃ、なにかあったら呼べよ」
「うん。ありがとね」
エドの背中で眠る娘に微笑む私は2人が部屋を出たのを見届けて「やっちゃったなぁ」と呟きます。風邪をひいたのは仕方ないけど、夜更かしが原因だなんてサラちゃんがいたら間違いなく怒られてます。
「リリアがもう少し大きくなったら会いに行かなきゃね」
まずは風邪を治さなきゃだけど、たまには顔を見せるのも私の役目。独り立ちしたと言ってもあの子が大事な弟子であることに変わりはありません。
サラちゃんが独り立ちして半年。なかなか手紙をくれないので心配していたけどなんとかやっているみたいで安心しました。いまはそれで満足することにして、子供たちのためにも風邪を治すことに専念しようかな。




