その①
前略
薬草の調達先は決まりそうなのね。良かったわ。
でも問題は物件よ。協会に登録された空き物件がコヤックには無かったんでしょ? なら自力で探すしかないわ。けど、あそこも小さな村よ。都合よく良い物件があるとは思わない方が良いわ。最悪、コヤックで開く計画を変える必要もあると思っておきなさい。
追伸 まぁ、アタシも出来ることはしてあげるわ。困ったことがあれば相談すること。
リリア・ゲーベル
――なにか隠してませんか?
7月も終わりに近づくある日の昼下がり。
「最近のソフィーさん、なんか変です。エドさんもアリサさんもだけど、なにか隠してますよね?」
「え、えっと……」
「やっぱり隠してますね」
グイっと顔を近づけるサラちゃんは頬を膨らませ抗議の意思を示します。いまのサラちゃんって機嫌が悪い時の私みたい。エドが子供っぽいと笑う意味がわかった気がします。
「なんだかバカにしてませんか」
「別に。そんなことないよ」
「で、なにを隠してるんですか」
「そ、それはね? うん。まだ言えないかな」
薬草の件もそうだけど、まだ話が完全にまとまった訳ではありません。変に期待を持たせたくはないのでいまはまだ誤魔化すしかなく、私はジト目の弟子を前に苦笑いしました。




