その①
親愛なるアリサ・シズニー殿
久しぶりの手紙ありがとう。元気にしているようで安心したよ。
さて、手紙に書いていた件だけど僕で良ければ力になるよ。本当はアリサのような採集者と組むのが良いのだろうけど、君の言う通り小さな薬局と組む人間は少ない。その点ではアリサの考えは正しいと思う。
「『――サラと言う薬師が独立する前に会いに行くよ』ですか」
「そう言うことだ。とりあえず問題が一つ片付いたな」
「はい。ありがとうございます」
アリサさんの知り合いの薬草商人から連絡があったのは7月の初め。サラちゃん独り立ち計画を思い立って2カ月が経とうしたある日のことでした。
「あとは店の方だが、協会からなにか連絡はあったか?」
「いまのところはなにも。まだ時間はあるし、焦って探しても良いことはありませんよ」
「それもそうだな。ところでエドは何処に行ったんだ」
「ルークとお昼寝してます」
「昼寝……あいつ、ルークの子守を盾にサボってないか」
「ウチの稼ぎ柱は私ですから仕方ないですよ」
村長と言ってもお給金が出る訳ではなく、手に職が無ければ食べていけません。
前の村長、つまりエドのお爺さんは村の近くで麦を育てていました。ですがお爺さんが亡くなったあと、エドは畑の権利を同じく麦を栽培する村人に譲りました。自分には向いていないからと言うのが理由だけどそれはあくまで建前。村の外に畑がある関係上、畑に行くと半日は留守になってしまいます。
「――要はソフィー殿を一人にするのが不安だから手放したと言うのか」
「エドってああ見えて心配性ですからね。いくら村の中と言っても私一人で留守番させるのは嫌だったんでしょうね」
「まぁ、ここは街道からも近い村のはずれにあるからな。近くに家も無いし気持ちはわかるな」
「だからあの子の子守をしてくれるだけで十分なんですよ」
たまには調薬や診察も手伝ってくれるし、傍から見れば“ダメ夫”だとしても私にとっては最高の旦那様なんです。




