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数式わからんド派手な新人

作者: 鰯田鰹節

数式わからんド派手な新人




課長の横に、小柄な女の人がいた。

「え、中途入社…?」

朝の打ち合わせがザワついた。ここ数年、この支社に新入社員なんていなかったからだ。


新しく仕事の仲間となるであろうその人の髪色は、根元は黒っぽいがすそは金に近かった。

フワリとコテで巻いた髪を高めの位置でひとつに束ねていた。


ピアスは穴はたくさん空いていたが、ダイヤのミニピアスだけを付けていた。


長いまつ毛がマスカラで縁取られ、さらに長くなっている。目が大きくて、キラキラと輝いていて…。

なんていうか、目ヂカラがある…。


出勤1日目にして、ゆるふわブラウスに膝が見える丈のスカート。足元はハイヒールだ。


つまり、あれだよ。


令和のギャルだよ…!



ーいやっ!ギャル怖い。

この人の指導係になったら、俺は死ぬ。

絶対話通じない。



「…で、あるからにして、指導係は、東田(ひがしだ)くん。」



ー?



「東田くん!」


ーえ、俺呼ばれてる?


「はい!?」

「指導係ね、北野さんの!」


ーえ、俺が!?



どうして、こんな陰のオーラ全開の冴えない俺が…!?

コミュニケーション取れないって…!







「よろしくおなしゃーす!」

元気に隣のデスクに北野さんがやってきた。


陽のオーラ、怖い。

すごい怖いやばい、おうち帰りたい。




「えーと、Excelは使えますか…?」


「えくせる~??」


「まず、パソコンを起動させましょう…。課長にもらった、IDと初期パスワード入れて…。」


「りょー!」




すごい怖い、何この人。

りょってなに、りょーって何。

『り』と『りょ』って同じで合ってる?




「東田センパイ、出来ました~!」


「じゃあ今日はこのデータの打ち込みと、集計を午前にやらないといけないので、急ぎましょう。」


「り!」




やばい、これ意思疎通出来ちゃってる。

怖い。

俺って、スキル全言語習得とか、いつの間にか持ってた???




「…で、Excel使えますか?」


「えくせる~?」




ーん~? タイムリープしてる~???


「この数字をここに入れると…ここに合計出ますよね…。」


「お!」


「で、この数字はこの数字の10パーセント上乗せ分…。」


「おお~!」


「ここの列は、この列とこの列をかけたり、割ったり、3分の1にした値ですね…。」


「えええ~! やば~! すご~!」



ーえ、やば~…!!

なに、今どきの子はExcel使わないってこと!?

あ、スプレッドシート派!?




「センパイ、つまりなんですけど~!」


「あ、ハイ。」


「これはスポイト抽出ッスよね。」


「え…ハイ…。」


「ここと~ここは~乗算して、それで、不透明ッスよね。」


「???」


「で、ここは~新規レイヤーだけど、線画の下に持ってって作業ッスね!」


「????」


「あと、加算発光か~忘れないようにしまっす!」



ー俺、アイビスペイントの話、した~???



「頑張りまっす!」



ーもうだめだ。おうち帰らせて。



しかし、彼女はなぜかExcelの基本を理解し、午前のノルマはきちんと終わらせることが出来た…。





その後も新しいことを覚えに覚え、北野さんはメキメキと力をつけていった。



つまり、令和のギャルは…強い!!!




数式わからんド派手な新人、北野さんの今後の活躍が楽しみである。

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― 新着の感想 ―
[一言]  なんか微笑ましいと思いました。 「人は見かけによらない」の一言では片付けられない魅力が北野さんにはありますね。  意外とこの二人、仲良くなりそうです。  ありがとうございました。
[良い点] 自分の過去の後輩を思い浮かべておもわず「わはは」と声が出ちゃいました。 [一言] いますよね。 何言ってるかわからないし、きちんと理解してるのかすごく心配だったのに、やらせてみたらちゃんと…
[一言] 私もギャルは少し苦手なイメージだったんですが、お客さんにギャルぽっい人がいて、とても良い人で頑張り屋さんで、私は今まで人を見た目で判断していたのかもしれないと少し反省したことがあります。 北…
感想一覧
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