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プロローグ

 よろしくお願いいたします。


 あ~、あの…皆さん初めまして。


 私は普通にサラリーマンをしている、しがないオッサンです。スタイルやルックスがいい訳でもなく、2枚目3枚目というナイスガイでもない……。しかも、女性達からは普通もしくはあまり良く思われてはいない……。なので独り身でこの歳になるまで“彼女”というモノに縁がある訳もなく、一人を満喫中なのであります。

 ……だったのですが!!

 ある日を境に訪れたバラ色!?の人生を歩む事になろうとは私も想定外で……。


「ね、ね、エッチしよ♪」


 そ、そうなんです。こんな、なんの取柄もないオッサンの私の所に突如として現れた”最愛の妻”はなんと人外だったのです……。


「えっ、今から?」


「うん、今日はお仕事お休みなんでしょ?ダメ…?だって抱かれていたいんだもん。ね♪」


 この甘え上手な私の“妻”はストレートのロングヘアで頭に2本の角があり、背中には伸縮自在の蝙蝠の羽と同じ形の翼があり、先が矢尻のような形をしている尻尾があります。胸も大きく、腰もクビレていて”ボン、キュ、ボン”というナイスバディ!ゴホッ。


 服装は大胆で殆どが肌を露出し、胸と下半身の大事な所を覆っている密着した黒服で、太ももまでの黒いタイツとガーターベルト、黒のサンダル型のハイヒールを履いていました。腕には何かの紋様があります。

  スリーサイズは……ご想像にお任せします……。


 “彼女達”は魔族と言われ、その種族の中の1つ”女淫魔サキュバス”と呼ばれる種族だそうで。私も浅い知識ですが聞いた事があり、凄く妖艶な女性の姿で相手を誘惑し、キスやエッチをする事で相手の生気や精気を奪い、相手を死に至らしめる魔物とか……。そう何かで読んだ事がありました。聞いてみると、確かにそれも間違いではないとも言われました。でも、それも制御できるそうなのです。彼女達……(いや、まだ沢山のサキュバスがいると聞いたので……。)の気持ち1つだそうで、気分を害してしまった時は、間違いなく相手はあの世行き(天国か地獄かはさておいて)になるとの事でした。


 私も当然、最初は間違いなくあの世行きになるんだろうなと思いました。まぁ快楽のまま死ねるならそれもいいかと。どうせこのまま生きてても、この先良いことなんて……。そう思ったんです。身勝手を承知で気持ちいいままで朽ち果てるなら本望だと、ちょうど童貞も卒業できるしと、開き直っていました。


 しかし、そんな気持ちを打ち砕いてくれたのは彼女でした。突然、彼女は私に「私を奥さんにして欲しい」と言ってきたのです!


 しかも!しかもですよ!!よくよく聞いてみたら“王女様”だって言うじゃないですか、マジで!


 余計にパニックになってます!


 私も一瞬で頭が真っ白と目が点になってしまいました。何を言っているのか分からず、気持ちの整理もつきません。なぜそんな話になるのかと意味不明で思わず彼女に聞き直していました。


「お、王女様って……しかも私の奥さんに!?どうして……?」 


「うん、だって思ってたままだったから好きになっちゃったんだもん。それじゃダメ?」


 い、いやちょっと待って!普通の人間の女性様からは疎まれている立場の私が、人外様にはモテるとか?い、いや待て待て。いくら何でもそんな事があり得るのか?奇跡だろ?出来過ぎじゃないのか?余りにも超ビックリなんですけど!


 私の胸に顔を寄せて上目遣いに求めて来る彼女のそのお顔!一発で幾本の矢がハートに突き刺さり、射止められてしまった私……なんでこんなに可愛いの………。


「で、でも本当にいいの?この世の中で、いい男はごまんといるよ。こんな女性に好かれた事もなければ甲斐性のない男が君の夫で良いのかい?しかもオッサンだよ?」


「うん、良いの!あたしにとっては素敵な王子様なんだもん♪」


 な、なんつう子だ、涙が……。あぁ、ますます矢がハートに突き刺さるぅ…。もぅ、ダメだぁ、ここまで言われて断れるかぁ。騙されてでもいい!私は腹をくくったぞぉ!


「……分かったよ。君を僕の妻にする!」


 一気に彼女の顔が綻び明るくなる!眩しいくらいにいい笑顔だ可愛い!魔族なのに。もう、どんどん矢が私のハートに追加で突き刺さって来ます。

 いか~ん、彼女を欲しているぅ!困ったぁ、どうしていいか分からん!


 それに気付いたのか彼女の頬がピンク色に染まり、しかも凄く嬉しそうな顔をしてます。


「いいよ、しても。ううん、して欲しい、抱いてくれる?」


 ガンッ!!何かに完全に脳天をかち割られました……。


「私も完全に君が好きになっちゃったみたいだ。キ、キスしてもいいかな?」


 彼女ははにかみながら頷いて目を閉じて唇を寄せてきました。重なり合う唇の感触……。女性の唇ってこんなに柔らかくって甘酸っぱくて優しいんだ……。もっと欲しいな、感じてみたい……。


 すると同じことを思っていたようで、彼女がゆっくりとディープキスをしてきました。私もちょっと驚きましたが、すぐにそれに応えます……。


 彼女が求めて来る感がひしひしと伝わって来る……。こんなのは初めての連続です。彼女が両腕を私の首の後ろに絡ませてきました。キスの感触を味わいながら、私も彼女の背中に手を回して抱きしめていました。口づけをゆっくり離しお互いに見つめ合ったまま、私は彼女を誘っていました…………。


 ダメです。彼女の妖艶で可愛い表情は最後まで矢がなん本も刺さりまくりだった訳で………一体何本刺さったんだ……。


 私の胸に彼女がよりかかってきました。私は彼女を抱き締め、彼女の感触を確かめていました。何故なら一瞬で消えて居なくなってしまうのでは?と不安感もありました。私も腹をくくったと思った割には、気が小さいよなと思いつつ、彼女はしっかりと腕の中に居ると実感して安堵している自分に呆れつつ。


「これからよろしく、私のお嫁さん。」


「こちらこそよろしくお願いします、アタシの旦那様♪」


 口づけしあって、お互いを確かめあいました。どんな波瀾が来ようとも、彼女となら………と思った私です。


 ただひとつ、気掛かりがあったので聞いてみる事にしました。


「そうだ、なんで脇目も振らずに私だ!って思ったの?」


 彼女がちょっと驚いて、頬を染めながら話してくれました。


「え、そ、それはね。アタシが小さいときに、お母様と一緒に人間界に来たことがあったの。人間の世界では“車”と言う鉄の塊にアタシが引かれそうになって。その時助けてくれたのが、貴方だった……。スゴくカッコいい!って思って。その時からアタシの中で、絶体この人のお嫁さんになる!って決めたの。……迷惑だった…かな………?」


 は……はっはは。そう言えば、私が若いときに助けた女の子が居たっけ。危うく車に引かれそうになった時に、私も夢中で飛び出してたっけ。確かに女の子のお母さんがスゴく綺麗で魅力的だったのを覚えてますよ。でも、まさかその時の女の子だとはね。こんなに美人になるんだ。てか、その話が出てこなかったら全く分からなかったな……こりゃ男冥利に尽きるね。魔族でも、こんな純な子が居るんだね。驚きっぱなしです。


 私は改めて彼女を抱き締めました。彼女はちょっと驚きましたが、私の言葉に安心します。


「私は白馬に乗った王子様ではないと思う。でも、私は君を紛れもなく好きになって妻にしたいと思ったよ。君が欲しい。」


 それを聞いて、彼女が口づけを求めてきたのは言うまでもなく………。


「ね、ね、エッチしよ♪」


 ………人外だろうと、愛しあえる事には代わりない事を知った私……。私のこれからの人生がバラ色!?かどうか。それは、私と彼女がどう思うかで決まる事な訳で。


「分かった、愛してるよ」


「うん!アタシも!」


 私達は抱きしめあって、お互いを感じていました。例え種族が違えど……愛する気持ちは境目は無いと………うっ!自分で言ってて恥ずかし過ぎる………。 

 そして今、バラ色の人生を絶賛満喫中です……………………。

読了ありがとうございます。良かったら続きを……。では。

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