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SHAME PUNISHER ~童話征戦~ (仮)  作者: 鎚谷ひろみ
8/8

CASE 1 ラプンツェル事件 EP

一応、CASE1の最後です。よろしければ……

「ねぇ~、犬飼さん? ホントに……また何もしないの?」

「……」

「わたし、犬飼さんだったら店のルール破っていいし……お店の人も犬飼さんだったら別に何も言わないよ……」

「別にいい……それより俺はただ、警察の捜査網から逃れたいのと、服を着替えるための場所を貸してもらえたらそれでいい……それに死ぬほど腹減ってるし……元気ない……」

「んじゃ、何か面白い事話してよ~」

黒のセクシーなランジェリーを纏った風俗嬢が固いベットに座り胸元を寄せて鳥飼にアピールする。

鳥飼はとりあえず、嬢の胸元を見て鼻を小さく鳴らした。

そして穴の空いた上の服を脱ぎ、黒のタートルネックを着る。そして黒のジャージを羽織い、パーマのかかったクリーム色の髪を黒のキャップにしまいこんで被った。

そして、メガネを掛けようとした時……萌乃にメガネを掛けてもらった事を思い出した。


「しくったな……」

「えっ、何?」

「いや、何にも……そろそろ行くわ……」

「今度はちゃんと手を出してね!」

風俗嬢の言葉を無視して、部屋を出た。


鳥飼は穴の空いた服を持ちながら、店のロビーに向かう。

そして、受付付近に立っているベテランのボーイに、穴の空いた服を渡した。

「鳥飼様……いつも、ありがとうございます……」

「いやいや、こちらこそ毎回何かある度に、隠れ蓑にしたり、服の修理を仲介して貰ったり申し訳ないですよ……」


ここの風俗店はカジュアルな値段設定にしているが、受付やボーイの接客はちゃんとしている。そして鳥飼にとっての考えでは、このような職業の人物たちは口が固いと信用している。そして新宿では珍しくこの店は、西側に構えている。



「あの……『みゆき』を毎回使命してもらって光栄なのですが……」

ボーイの詰まらせる言い方が気になり、鳥飼は顔をしかめた。

「はぁ……私……何かしました……?」

「いや、毎回……みゆきから、クレームがきておりまして……『手を出してくれない』って……」

「いや……えっ、それって何か問題ありますか?」

「えぇっと……あの子にも風俗嬢のプライドがあると言いますか……普通のお客さんや嫌なお客さんだったら、ラッキーらしいですが……あなたは紳士ですし、イケメンです……出会って一年近く何もされないのが……その……悔しいらしいんです……」



鳥飼がこの店を使う時は基本、警察の捜査網の隠れ蓑として使うか着替えとして使う事しかない……


「それじゃ、俺の知り合いを紹介しますよ……」

「いや、そういう事ではなくてですね……」


ボーイは諦めて溜め息をついた……

「まぁ、来てくださる事が我々にとっても、みゆきにとってもありがたい事ですから……大丈夫です」

「なんか、すいません……」

「後……毎回言いますが……お代は正規の値段じゃなくていいですよ……今日は新人が受け取っちゃいましたから、アレですけど……」

「いや、ショバ代として申し訳ないですし……」

「あなたには我々もみゆきも助けられたんですし……一応、お金は頂きますが……」

「今度、利用する時は気を付けます……」


鳥飼は再度軽く頭を下げ、店を後にした……






そして、もう一度歌舞伎町に戻り現場の近くによる……

ある程度の現場検証は終わり、数人の警察しか残っていない……




鳥飼は歌舞伎町の奥の方にに進む。

そして、一軒の定食屋の暖簾をくくった。



「こんばんわ、大将。今日もいいかなぁ……」

「おぉ、鳥飼ちゃん! いいよ、いいよ! お得意様だから、10分待ってくれ、順次出していくから……」


カウンター席に座り、帽子を深くかぶり直し、食べ物が来るのを待つ。


「おお! 鳥飼お疲れ!! 」


明智意気揚々と鳥飼の横に座る。


「今回も大変だったな! まぁ、お前だから余裕だと思うが……そうそう! おまえ……萌ちゃんに仕事見られたんだってな!」


鳥飼は不服そうな顔で明智を睨む。


「おいおい! 睨むなって、俺は何もしてないじゃん!」

「そうだが……誰かに当たりたい気分なんだよ」

「えぇ……おまえ、仲良くなると人に当たるの良くないぞ!」


そう言われ、鳥飼は目を見開いてから、一息吐き喉を鳴らすように笑う。


「何々? 情緒不安定なの? これだから、『SAGE』どもは……」

「いや、ついさっき同じような事を……俺が人に言ってな……」

「んじゃ、尚更気を付けろよ」


二人の前にビールが置かれる。

「んじゃま……祝杯だ」

「祝杯ってほどじゃない、いつもの事をしただけだ」

「めんどくせえな! 晩酌でいいよ!」


明智が鳥飼のグラスに近づける

「乾杯!」


そして、ビールを流しこんだ。


話していると大将が鳥飼の前にてんこ盛りのチャーハンを置いた。


「鳥飼ちゃんスペシャル! 今日は中華フェスだ」


鳥飼は無性にチャーハンに食らいつく。

それから順次に各自大盛の唐揚げ、豆苗炒め、酢豚等々他の中華系のもの10品が出され、チャーハンをメインに色々つまんでいく。


「いいなぁ、うまそうだなぁ……」

「鳥飼ちゃんはホント旨そうに食うからな」


明智は手を伸ばし、鳥飼の酢豚の肉を箸で……ひょいっと取り、口に運んだ。


「あっ、俺の」

「うぇ、なんだよ、おまえ……また、味覚……」

「しょうがないだろ……」


そう溢すと鳥飼はまた食べ物を流し込む。

明智は小さく溜め息をつき、憐れむ目で鳥飼を見つめた。




「すんませーん、二人何ですがいいですか?」


ある程度の捜査を終えた、刑事の金木と原田が店に入ってきた。


「あぁ、どうぞ!」

「では、失礼します」


刑事二人は、鳥飼と明智の後方の四人掛けのテーブルに着席して、メニューとカウンターの上に並んでいる品目を選ぶ。

「結構色々あるんですね~」

「ここは色んな種類が食べれるのに、味は旨いんだよ。ここの店主が本当に料理が好きで、昔は世界各国行ってたらしいからな……表だっては有名では無いが隠れた名店だ」

「へぇ~、もしかして、ガパオライスとかもありますか?」

「あるよ!」


大将は二人にお冷やを出して、若い刑事の注文にニシッと笑った。


それから刑事二人も注文し、事件の話をし始めた。



「まぁ! 新宿界隈を脅かしたラプンツェル事件が、こうもあっさりと幕を閉じたわけですけど……」

「あぁ、各新聞社や週刊誌の記者たちも情報集めに躍起になるわな……でも、本当に犯人は西条だったのか……」

「そうですよね……犯人の西条ヒカルが何者かに両手両足を折られ通報され……近くで、西条が襲ったと思われ怪我をした自称ホストの証言によると『俺はコイツに刺されて重症を負わされたんだ! コイツが犯人だ……』ですし…… 証拠の凶器には、他の現場の被害者の血液が付着して、それが確たる証拠にですし……なんか、完璧すぎるというか……」

「あぁ……ただ、西条 ヒカルは意識が回復して喋れるが事情聴取ではダンマリを通して……どうなるんだろうな……これから……」

「そういえば西条、襲ったのは『正義の味方』ですかね……」

「まぁ、その線もあるわな……」

『うーん……』


刑事二人は、消化不良の事件に悩み唸る……




カチャッ!



「ごちそうさまでした」

鳥飼は箸置き、手を合わせた。そして財布からお金を取り出し、カウンターにお金を丁寧に置いて店を後にした。



明智もその後を追いかける。

「おいおい、やっぱり刑事たちも事件……出来すぎだと思ってんな……」

「しょうがない……だが、俺を疑うのは事はないだろ……」

「まぁ、そうかもたけどさ……」


明智は思い出したかの様に話し出す。

「そういえば、マスク! 新しいの用意したぞ」

「えっ、新しいのって」

「いや、今のマスク左目の所割れてんだろ……」

「まぁ、前回の件でな……」

「だから今回のは、目と鼻部分を覆うのと、口顎部分覆うのとで分離出来るようになっている」

「それ、めんどくさくねぇ」

「おまえ、今のマスク貰った時は、『なんか10年前以上のアニメのダークヒーローみたいで嫌だ』って言ってただろ!」

「言ったけ? 」


明智は呆れた様に笑った。


「まぁ、新しいのは上と下で壊れても付け替え出来るようになってるから……その点では便利だと思うぞ! それから、警察たちも言ってたが『正義の味方』と名乗るSAGEがお前を襲うかもしれんから気を付けろよ!」


鳥飼の肩を叩き、二人は歌舞伎町の南側入り口で別れた……






ラプンツェル事件から数日後の喫茶『止まり木』


萌乃はあれ以来、鳥飼の様子を窺いながら働いている……

だが、鳥飼は以前と変わらず働く。彼に変わった所があるとすると……

萌乃の目を全く見なくなったくらいだ。



そして、いずれもこの状態が日常へとなっていくのか…………






コンコン!



「西条さーん! 御加減どうですか?」


ガラガラ……



西条は入院してから、全く声を出さないので看護師はノックはするがお構い無く入る……

見張りの刑事たちもいるので凶悪犯だとしても安心しているのだ。




「きゃー!! だれか! だれか!!」


看護師の悲鳴がフロアに響き渡る。

病室の前で見張っていた刑事二人も急いで乗り込んできた……


ベッドの上には、西条ヒカルの両ひじ、両ひざから下の部分らしきものが残されて……

白いベッドが半分以上が赤ワインをこぼしたかの様に染まっていた……

一人の若い刑事はそれを見て病室の脇で吐瀉し、もう一人の刑事は呆然としながらも震える手でブザーを鳴らした


『西条ヒカルが……消えました……現場には…………うっ、足と手を残して……』



読んで頂きまことにありがとうございます!!


はじめて、アクションモノを書きました。


何となく、ジャンプの読み切り感覚で書きました。



続きを書くかは、わからないです……( ̄▽ ̄;)

やっぱり古着屋の小野寺さんの方が書きたくなっちゃうので(汗)


本当につたない文ですが読んで頂き誠にありがとうございましたm(。_。)m

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