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Battle 4



風が心地いい。


車がミニカーみたいに並んでいて、まるでミニチュアの街を眺めているみたいだ。



そう、僕は今とあるビルの屋上にいる。



これが僕が最後に見る景色だ。



僕は今日ここから飛び降りて死ぬ。



さすがにこんなに高所から飛び降りたら、いくらAでも助けられるわけがないだろう。


他人のトラウマは作りたくないから、あまり人気のない場所を選んだ。



まあでも今からやろうとしてることは紐なしバンジーみたいなもんだから、怖くないといえば嘘になる。


でもやっと死ねるというワクワクのが勝っている。



死んだらどうなるんだろう??


ああ、楽しみだなあ。




僕はうっとりと目を閉じ、足を1歩ずつ進めた。



限界まで端に立つ。



最後の景色を眺め、空気を肺いっぱいに吸い込む。





───Aよ。


この勝負は僕の勝ちだ。───




僕は後ろ向きになり、背中から思いっきり飛び込んだ。


先程までいた屋上が、小さくなっていく。



どんどん速度が増していく。


風が心地いい。


大空を羽ばたく鳥はこんな気持ちなのだろうか?



最後にこの死に方を選んで良かった。



おそらくもうすぐ地面だ。


そして地面に叩きつけられた後、すぐに気を失うだろう。


僕はゆっくり目を閉じ、うっすらと微笑んだ。



───さようなら。




ボスっという衝撃が背中に走る。


背中がヒリヒリする。



……あれ?


なんで僕はまだ気を失ってないんだ?



もう落下してから数秒は経った。


それなのに、背中が少しヒリヒリするだけで他には特に何も違和感がない。



僕はゆっくりと目を開けた。


隣には白い空気の入ったふかふかのマットと、満面の笑みで僕を見つめている"ヤツ"がいた。




「……っ!?」




『俺も空飛んでみたい。どうだった?風きる感じ』




僕はまだこの状況に頭が追いついていないっていうのに、Aは呑気にそんなことを聞いてくる。




「なんで?……確かに飛ぶ前に見た時はマットなんて無かったのに」




『ああ、どうやったか気になるか?特別に教えてあげよう』




Aは得意げに笑っている。


でも本当に分からないのだ。


だって落下開始から地面に辿り着くまでにはせいぜい10秒そこらしかかからないだろう?


そんな短時間でこんな大きなマットを準備するなんてことできるのか?




『……それはな、俺が頑張ったんだ!!』




「は?」




思わず呆れたような声が漏れてしまった。




『ちょっお前信じてないだろ!?本当なんだって!俺めっちゃ頑張ったの!お前を見張って後ろ向いた瞬間にマット引きずってここまで来たの!だからお前が後ろから飛び込んでくれて助かった。ちょっと早くスタートダッシュ切れたから(笑)』





まあ確かにそれならワンチャン可能かもしれないが。


いやそれでも速すぎだろ。


Aはなんかのアスリートなのか!?


スゴ技の持ち主!?


てゆーか怪力すぎないか!?



今までのことを振り返っても不自然な点はいくつかある。


まず第一に、Aは僕の自殺を何回も止めて来た。


僕は何も言ってないのに、だ。



あれ?


もしかして人間じゃない?


宇宙人なのか、Aは!?!?



そう思うと同時にAの顔を見た。




……そんなことあるわけないか。


あまりにも普通の人間だ。


最早人間にしか見えない。


いや、人間なのだが。


頭が混乱しすぎて変なことを考えてしまった。



僕は首を横に振り、考えていたことを脳内から消し去った。



もう、帰ろう。



こんなところに長居したくないし。


それに、どうせ今日はもう死ねない。



また失敗した。



次こそはAに止められそうにない方法を考えてやる。




「……帰る」




僕はそう言うと立ち上がり、Aに背を向けて足早に歩き出した。




『またな〜』




Aの顔は見えないが、その声色から笑っているのだろうということは想像がついた。



いつかその顔に、焦った色を映し出してみてたい。



まあその顔はきっと一生見ることが出来ないだろう。


Aが焦るのは、僕が死ぬことに成功した時だろうから。


とっても遅くなってしまいすみません。

私の他の投稿を見てくださっている方は知っていることかと思いますが、実は作者、受験生なのです。

なので、あと少しの間、投稿がまばらになります。すみません。

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