Battle 3 (2)
え?何この状況。
僕は風呂場ででカッターを持って死のうとしていて、天井にはAがいる……。
カオスすぎんだろ。
ほんとに状況が呑み込めない。
「なんでそんな簡単に部屋入っていいってなるんだよ。それに何で今日死ぬってわかったんだ!?風呂場ってとこまで当てやがって」
『いや質問多いな。(笑)なんで入れたのかっていうのは大家さんにこの写真見せて、一昨日から連絡取れなくて心配なんですって言ったら快く鍵貸してくれたよ』
そう言い終わったあとに僕の目の前に一枚の写真が降ってきた。
その写真には、笑顔で仲良さそうにピースしている僕とAが写っていた。
こんな写真撮った覚えないんだけど。
なんでこんなものがあるんだ?
ほんとに今起こっている出来事に何一つついていけてない。
『今、こんな写真撮った覚えないとか考えてたろ?それは撮ってないに決まってるだろう合成なんだから。え、俺加工上手くね?違和感なくね?すげーだろ』
いや、そんなドヤ顔で言われても。
確かに違和感はなくてすごいなとは思うけど、僕とAが仲良く写ってる写真とかなんか不快だ。
それよりもこんな写真1枚で部屋って開けてもらえるのかよ。(笑)
やべーなここのセキュリティ。(もとい大家さん)
まあいちばん悪いのは言うまでもなくこんな写真作って騙したこいつだ。
『あーあと何で今日死ぬのが分かったのかだっけ?それはなー、まあ男の勘だ。待て、そう考えると俺ほんとに凄くない?!……風呂場だったのは偶然。ちょうどいい隠れ場所がここだったからだよ』
「そんな偶然ねーよ普通!!」
『不可能を可能にする男だからな俺は』
だからいちいちそんなドヤ顔すんなって!
お前がやってる事は犯罪なんだって。
「もうわかったから。出てってくれ」
僕はまだ全くこの状況を理解してないし納得してないが、平静を装った。
『俺が帰ったらもう1回死のうとするんじゃねーの?』
Aはにやにやしながら聞いてくる。
少しイラッとしながら僕は口を開く。
「死なねーよ。こんな気分悪いまま死んだら死んでも死にきれーよ」
死なないのは本当だ。
今日はもう死ぬ気が失せた。
『死んでも死にきれない……?死んでるのに?』
「だから、そういう例えだろ!」
あーもうほんとに早く帰れよクソ野郎。
「ほんとに死なないから。もう帰れ」
『分かった分かった』
そう言った後、Aの動きが止まった。
「??」
すると困ったようにAが笑った。
『やべ、降り方分かんねー。手伝ってくれない?』
「はあああ。分かったよ。手伝うから絶対すぐ帰れよ?」
『へいへい』
Aは無事に降りることができ、本当にすぐに帰っていった。
Aは毎回僕の自殺を止めるし、止め方も一般的じゃなくどちらかと言えば常人じゃなくて天才的だと思う。(褒めてはいない)
もう一度言う、決して褒めてはいない。
けれどどこか抜けている。
この前も僕を止めようとして自分が溺れてたし、さっきだって降りれなくて困っていた。
……やっぱりAのことは全く分からない。
まあ分かろうともしてないけど。
今回はAに止められるかもしれないという気持ちを、少し心の底において置いたのでいつもよりもイライラせずにすんだ気がする。
何回やられてもムカつくけど、耐性がついてしまったみたいだ。
圧倒的について欲しくない耐性がついてしまった。(笑)
今日は本当にもう死ぬ気はないので、これからまた、死に方を考えるつもりだ。
Aのせいでレパートリーがだいぶ減ってしまった。
───次は、どう死のうか?
なんやかんや仲良しっぽい2人です。(笑)