その後のこと
主人公がただただ後悔の念に駆られている回です。(笑)
《こうなったら何がなんでも死んでやる。お前に止められないやり方で。止めれるもんなら止めてみやがれ》
……言ってしまった。
最悪だ。
こんなの止めてくれと言ってるようなものじゃないか。
なんか僕が凄いかまってちゃんみたいだ。
一時の感情に流されてあんな事を口に出してしまうなんて本当に馬鹿だ。
今までは常に冷静で、というか周りのことに無関心だっただけかもしれないが、なるべく合理的に生きてきたつもりだったのに。
Aと出会ってから僕はなんか変になった。
感情的になりすぎている。
……きっとヤケになっていたのだ。
何度死のうとしても止められる。
それならもう止められる前提で死のうとすればいいのだと。
止められない方法を模索すればいいのだと。
本当に最悪だ。
家に帰りベッドに横たわって、枕に顔を埋めながら僕は後悔の念に駆られていた。
先程の言葉を今すぐにでも取り消したい。
けれど1度口にしてしまったことは、どれだけ後悔しても取り消すことが出来ないものだ。
言葉とはとても素敵なものだ。
自分の思いを相手に伝えられる。
それによって友情や愛情を育むことが出来る。
しかし一方で、言葉とは枷だ。
人間にのみ与えられた、とてもとても大きな枷。
言葉があるからこそ生じる争いやしがらみ、裏切り、憎悪、嫉妬。
日々生まれ続ける”それら”の数は計り知れない。
そして人々は”それ"に翻弄される。
僕もまた、"それ"に翻弄されている1人だ。
見事に言葉という枷に、足元を取られてしまった。
僕の場合は上に挙げたような争いやしがらみといったものではないけれど、言葉に翻弄されていることは確かだ。
「はああああ」
僕はもう一度大きなため息をついた。
自分の発したことに後悔するなど、何も考えずにあれこれ発言している愚者のすることだと思っていたのに、まさか僕がその愚者になるなんて。
けれど口に出したことにはきちんと責任を持たないといけない。
先程の言葉を取り消して欲しいなんて今更言えない。
だからAと闘うしかないのだ。
そう頭の中で割り切った。
すぐには割り切れなくても割り切らなくてはならないのだ。
こうなった以上、徹底的にAを欺き、Aに止められない方法を考えるしかない。
僕はそう覚悟を決め、そのまま寝た。
おそらくこの眠りは、現実逃避だ。(笑)




