Battle 2 (2)
家に着き先程の記憶も洗い流すように、直ぐに風呂に入った。
髪の毛を乾かしテレビをつける。
今はまだ夕方で、見知った情報番組がやっていた。
それを横目に見ながら夕飯の準備をする。
俗に言う最後の晩餐とやらなので少しだけいつもより豪華なものにした。
いつもならコンビニでおにぎりとサラダとチキンかなんかを買って食べるのだが、今日は某有名牛丼店の牛丼大盛りにした。
ちなみにつゆだくだ。
もう一度言う。
つゆだくだ。
なぜ2回言ったかって?
それはつゆだくの牛丼がこの世で一番好きだから。
じゃあそのつゆだく牛丼のために生きればいいじゃないかって?
それは難しい。
いくらつゆだく牛丼が美味いといっても、それはこの退屈な世界を生きる理由にはならない。
つゆだく牛丼の美味さと、退屈な日常を送る苦痛は、比べるまでもなく苦痛の方が圧倒的に勝る。
それにつゆだく牛丼のために、死ぬという決断を簡単に変えることができるなら、最初から死のうなんて考えに至らないだろう。
とてつもなく無意味なつゆだく牛丼論争を頭の中で繰り広げながら、僕はつゆだく牛丼を口に運んだ。
───美味い。
やはり何度食べても美味い。
最後の晩餐にはうってつけだ。
止まらない箸で口に牛丼をかきこんだ。
それからは特にいつもと変わらずだらだら過ごし、11時には布団に入った。
最後だからオールでもすればいいじゃないかと思うかもしれないが、オールするのは僕の美学に反する。
少しかっこよく言ってみたが、実際のところは寝ないと次の日を生きていけないからだ。
体力的に、死ぬ。
そういう体質なのだ僕は。
なんともおかしな話である。
明日安らかな死を迎えるために、今日を健康に規則正しく生きるなんて。
そんなことを考えながら、僕は瞼を閉じた。
───翌朝
朝起きて顔を洗い、ご飯を食べ歯を磨く。
いつもと何も変わらない朝をすごしていた僕の元に、待ち望んでいた品物が届いた。
すぐに箱を開ける。
"それ"は瓶にいっぱい入っていた。
胸の動悸が収まらない。
わくわくしすぎて楽しい。
とりあえず瓶は机の上に置いておき、やらなければいけないことを済ます。
洗濯機を回し、部屋の掃除をする。
洗濯をするのは発見されたあと、使用済みの汗臭い服を片してもらうのは申し訳ないから。
掃除をするのは、どうせなら綺麗な部屋で死にたいからだ。
すべての準備が終わり、僕は窓を少しだけ開けた。
カーテンが外になびく。
隙間から入ってくる風が、僕の頬をかすめる。
心地がいい。
僕は机の傍に寄り、瓶を手に取った。
ゆっくりと蓋を外す。
どうやって飲もうか考えたが、やはり普通に水で飲むことにした。
早速、死のうか。
僕は水のペットボトルを手に持った。
ここにAがいるはずもないのに、なんとなく周りを気にしてしまう。
それもこれも全て今まで尽く邪魔してきたAのせいだ。
いらいらが沸いてきそうだったので、慌てて頭からAの姿を消した。
さすがに人生の最後を悪い気分で終わりたくはない。
深く、深呼吸をして心を落ち着かせた。
ペットボトルを口元に運ぶ。
そして一気に薬を沢山飲んだ。
一気にと言っても飲み込める量には限界があるので、2、3粒ずつくらいだが。
瓶の3分の2程飲んで、もうこれくらいで十分だろうと思った。
案外飲んだすぐは何も起こらない。
ただ、少し眠くなってきたような気がした。
僕は整えておいたベッドに横になり、静かに目を閉じた。
もう、二度と目覚めることのない世界。
───さようなら。
くだらないつゆだく牛丼論争書いてたら長くなりすぎてしまいました(笑)もう一度切ります。今度こそ次でBattle2は終わる予定です!




