32話 モンスター牧場
「一年十四組、学園施設巡りモンスター牧場編!今日から学園内の使える施設を紹介もとい体験していくことになる。今回は予告通りモンスター牧場の体験をすることになる。質問は受け付けるからジャンジャン言ってくれ」
朝のホームルームで教員リオンが高らかと発表する。
「詳しい説明は向こうに移動して実際に見ながらしていく。それじゃ、移動するぞ、お前ら立てー」
リオンは教卓にカードをかざし、パネルを操作した。
教員と生徒は音もなく一瞬でモンスター牧場入り口に移動した。移動先は周りよりも一段高い円状の台であり、周りの反応からして転移自体さほど珍しいことでもないようだ。
「あっ、ごめんなさい。」
何処からか声が聞こえる。誰かが人にぶつかってしまったようだ。それも仕方がない事なのだろう。教室にいた時よりも明らかに人同士の間隔が狭くなっている。
「お前ら降りてこっち来い」
リオンが台から降りて生徒に呼びかける。リオンに続き生徒がぞろぞろと段差を二段下がり移動した。
「ここは転送所だ。訓練場には無かったが公共の施設内には大体これがあって資材の運搬に使われてる。じゃ、使い方を説明しとくぞ。これを見ろ」
そう言うと、リオンはタッチパネルの取り付けられた台を指し示した。
「これに、自身のカードをかざし、移動させる人や荷物を設定する。後は台の上に乗れば転送されてるってわけだ。設定は人の場合、カードをかざすか個人番号の入力、荷物はそこの台でスキャン出来る。そして、一番気をつけなきゃいけないのが、これだ」
リオンか親指と人差し指で円を作って手の甲を下に向けた。
「仏?」
「おい、#違__ち__#げぇぞ!誰だ今の!?金だ、金、これ使うと手持ちから勝手に引かれる。しかも、地味に高けんだこれが。だから、物の輸送以外じゃ使うことがないと思っておけ。ちなみに教員は免除されるから、俺は使い放題だ。で、質問はあるか?」
「わしはどっちになるのじゃ?」
コアが質問をする。
「お前はどっちの条件にも当てはまる。好きな方選べるぞ。安い方選んどけ」
「それでいいのじゃ!?」
「次は#受付__うけつけ__#と掲示板を続けて紹介する。まず受付。」
木製のカウンターテーブルに受付
「いらっしゃいませー」
受付嬢が笑顔で挨拶した。
「依頼を出したり、おすすめの依頼を聞けたりできるぞ。だが、それは掲示板でもできる。ここでは依頼達成の報告が主なやりとりだ。依頼品やコアを持っていけば対応してくれるぞ。分からないことがあったらここで質問ろ。優しい、お兄さんお姉さんが手取り足取り教えてくれるが、気を許すと厄介ごと押し付けてくるから油断んじゃねぇぞ」
「ちょっと!余計なことを吹き込まないでよー!」
「そーだ、そーだ!」
リオンに向けて受付からヤジが飛ぶ。
「うるせぇ!次だ、次。そして、これが掲示板だ」
リオンは壁に設置された巨大なスクリーンを指し示した。
「このスクリーンに映っている依頼をカードでタッチすることで依頼を保持することができる。正式に受ける場合は、そこに並んでるコンピュータか受付に頼んで確定させることが出来る。コンピュータでの受け方だが、デフォルトで入ってるソフトを使う。ここでは依頼を、出したり、受けたりする操作もできる。当然、部屋のコンピュータからもアクセス出来るから、家で依頼を探すのもありだ」
「そっちは、雑貨屋だ。場所が場所だから割高になってるぞ。必要な物はメインストリートで買い集めとけ」
「こっちは、飲食店。雑貨屋と比べて割と良心的な値段してるから。結構、重宝することになるぞ。おすすめは親子丼だ。安くて美味い!」
「地下には小さめな訓練場があるウォーミングアップ程度ならそこで済ませられる」
「上は一般書庫と応接室、裏には、職員の休憩所、資料室、管理室、会議室、まぁ、色々とある」
「やっと施設紹介が終わったぞ。結構時間かかんだな。ところで、自分のランク分かるよな?今回はこっちで依頼を用意してあるが、本来なら自身のランクにあった依頼を自分で探して受けることになるから、依頼の選び方とかしっかり考えておけよ」
「わし、ランクないのじゃが?どうなるのじゃ?」
「お前は生徒と魔道具、両方の特性を持ってるからな、頭の硬い奴らが対応するまで魔道具として入っとけ」
「お主、本当に教師なのじゃ?いい加減すぎるのじゃ」
「これでも教員だ。失礼だぞー」
リオンが紙を取り出した。
「これから注意事項を話す。」
リオンが取り出した紙を配った。
「その地図には、地域の危険度が記してある。自分のランクよりも高い危険度の#所__とこ__#には行くんじゃねえぞ。死ぬぞ」
「よし!粗方説明し終わって、これからいよいよ牧場に入るわけだが、一人で行くと咄嗟の時に対応できるわけが無い。よって、4人チームを作ってもらうぞ」
リオンがさらに紙を配った。
「チーム一覧とそのチームの依頼だ。バランスを考えて適当なメンバーをこっちで決めてある。さぁ、自由時間だそれぞれ準備して依頼をこなして来い」
指令を受けた生徒はそれぞれ、紙を見てチームメイトと合流すべく動いた。
「お前、俺様のチームメイトか?」
レンがリュートに話しかけた。
「うん、そうだよ。」
リュートが答える。
「よろしくなのです」
「よろしくでありんす」
麻緑色の髪を足元まで伸ばした小柄な女の子と、粉雪色の耳や尻尾、髪を持つ女性も集まりチームが揃った。
(ん?)
リュートの頭にあることが過った。
・リュート ヒューマン
・レン ピクシー
・リョウカ ピクシー(小柄な女の子)
・コユメ ピクシー、魔族(白狐の女性)
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ヒューマン 平均
ドワーフ 力↑ 瞬発力↓
エルフ 瞬発力↑ 力↓
ピクシー マナ↑身体能力↓
魔族 身体の一部が他の生物と置き換わっている
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(バランス悪くない?)




