27話 コアとトウカ
クオンは親から聞いた情報を元に語った彼女は語った。
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クオン トウカは24年前に一般に平凡と言われる家庭の元で生を受けた。
「おんぎゃあああぁぁ!!おんぎゃあああぁぁ!!」
それなりに良い設備の病室に赤ん坊の声が響き渡る。
「おめでとうございます!元気な女の子です!」
助産師がまるで自分のことのように喜び言った。
「はぁ、はぁ、ありがとうございます、」
赤ん坊を産んだ黒髪の女性が疲れ切った様子で疲れ切った様子でニコリと笑い言った。
「お疲れ様です」
医師が声をかける。
「抱っこしてみますか?」
助産師がそう言った。
「はい」
女性が返事をした。その直後、問題が起きた赤ん坊が急に泣き止んだのだ。
「…ッ!人工呼吸器をすぐに!」
医師が焦りながらも的確なに指示を出した。
「はい!」
待機していた看護師が人工呼吸器を取り出し医師に手渡した。
「すいません」
助産師は渡しかけていた赤ん坊を引っ込めて側の新生児ベッドに寝かせた。
「ん?」
医師が人工呼吸器を付ける前にあることに気づいた。赤ん坊が呼吸している。しかも、かなり安定している。
「どう言う事だ…?」
医師が経験のない異様な事態に困惑していた。
「どうなっているのですか!?せめて子供の安否だけでも!」
「すいません今はなんとも言えませんが、安全のため少し様子を見させてください」
医師が申し訳なさそうに、そして真剣に言った。赤ん坊が奥に連れてかれて行った。
その後、赤ん坊つまりトウカは特に問題もなく母親に抱かれていた。医師の話によると何者かが魔法を掛けていたらしい。しかし、その魔法が呼吸の手助けをしていたため、産声が急に止まったのは別の原因があるのではないかと言う話になった。
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「私がこのストーカーに目をつけられたのはこの時よ」
トウカがぐるぐる巻きの惨めな状態で言った。
(ん?コアの話出て来た?荒唐無稽じゃない?)
などと、リュートが考えてた。
「待つのじゃ!わしはストーカー断じてなぞじゃないのじゃ!トウカが産まれてから温かい目で見守って来た第三の親みたいなもんじゃ!」
コアが誇らしげに言った。
(あっ)
コアの「生まれてから」という言葉で犯人がコアであることを察した。
「やっぱりお前だったのかぁーー!!」
トウカが跳ねたためリオンに押さえつけられた。
「待て今回は助けてもらってないから!?何故今まで以上に取り乱してんだ」
リオンが言った。
「あんたやっぱりバカよ。あの牛が「感謝するのじゃ」みたいなこと言わないのは後ろめたいことが有るってことよ!」
トウカがリオンに言った。
「言葉足らなすぎだろ!誰が分かるんだよそれ!」
リオンが半分キレた。
「わしは分かったのじゃ。今もわしらの思い出の数々を思い返しているのじゃろ?」
コアがニヤニヤとした顔が浮かぶような声で言った。
「黙りなさい!そうよ…声だけ出してくると思ってた奴が手を出して来ていたのよ!…(アレもコレも出て来るじゃない…)」
「すいません!質問なんですけど、なんで声出してくるだけだと思ってた相手を殺すまで憎んでたんですか?」
リュートは大きな声で言ったあと、通常の会話レベルまでトーンを下げて質問をした。
(話聞いてる限りコアがモンスターだったとは言え殺すまで憎しみを募らせるのは変だと思う、だから、そこを解消しすれば終わるかもしれない。あと、そろそろ帰りたい。コアも助かったし、スパイも疑いも晴れた。…お腹空いた)
リュートは昼に実技試験で体を動かし、そのあと、この取調室に連れてこられて強さ化け物の怪物相手に緊張状態を保って来たため、カツ丼を食べておけば良かったと思えるほどお腹空いていた。目の前で兄弟喧嘩を見せらたことにより威厳が減り、親近感が畏怖の心を上回ったことで行動を起こした。それに、出会いから話していたため(めちゃくちゃ長くなりそう)との考えにより行動に移した。
「えっ?」
トウカが想定外な事が不意に起こったような声で言った。
「話したくない…」
トウカが続けて言った。
「話すって言ってなかったか?」
リオンが不思議に思って聞いた。
「頭に血が上ってたみたい。聞かなかったことにして…」
トウカは冷静になったようだ。
「話さないのじゃ?それなら、わしから話すのじゃ。」
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あれは、10年ほど前から…
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「黙りなさい!」
トウカがコアの回想を遮るように言った。
「お…分かったのじゃ、」
冷静になって覇気を取り戻したトウカにコアが黙らされた。
「あ、あなた、疑いが晴れたので帰ってもだ大丈夫ですよ。あなたと教員以外この事は知らないので口を塞いでおいてくれると助かります」
トウカはリュートに帰るように促す。
「……」
リュートは帰り方が分からないと言わんばかりに固まる。
「あー、そりゃそうか。部屋の前でいいか?」
そう言って、リュートを片手で右から左へ放り投げた。
ドスッ!
「イッ…!」
リュートは自分の部屋の前でマットの床に尻餅をついた。あまりにも呆気なく終わった。それは、一瞬
夢だったのかどうかと疑い、一日中、本当に終わっているのか考える程だった。




