17話 バトルロワイアル前夜 1/26 手直ししました。
自身の部屋に着いたリュートは設置されているコンピュータ起動をした。
リュート達受験生は正式な生徒ではないため、ほとんどの機能が開放されていない。しかしながら、今日行った試験のに内容や明日の試験に関する事は詳細に調べることができる。
リュートは実技試験の点数が高い者から順にリプレイを確認する。そして、癖や弱点などを調べ声に出しながらノートに書き連ねる。手、口、目、耳の全てを使用して頭に叩き込む。その後はダメ押しに『記憶魔法』を発動して頭の中で思い返す。
『記憶魔法』とは記憶力を強化することが出来る魔法である。強化された記憶力で物事を瞬時に記憶したり、思い出したり出来る。別の用途として魔法範囲内の生物の今の記憶を思い出す(思考を読み取る) ことが出来る。
リュートは得点上位の受験生を簡単にまとめた。そして戦うべき相手、避けるべき相手、実力が不明の相手の三種類に分けた。
"戦うべき相手"とは一対一の対等な戦いならばほぼ確実に勝てると踏んだ相手。
"避けるべき相手"とは確実に勝てる保証が無く、勝てたとしても時間がかかってしまう相手。
"実力が不明の相手"とは強さと実力が釣り合わない相手である。
リュートには相手の#強さ__・__#を見極める才能と呼べる目があった。本人にもどのように見極めているかの説明は出来ないが、その精度は高く相手が隠していようとも見極めることができる。その為、実際の動きと直感で感じた強さと違いがある者は実力を隠していることになる。その、相手にはリプレイから読み取った弱点や癖が、嘘であったりそこを突ついても対応してくる可能性がある。
そのため、リュートは"実力不明の相手"を最も警戒している。上位陣の対策が一通り終わった時、机の上で邪魔しまいと静かにしていたコアがリュートに話しかけた。
「わし、なんか眠いのじゃ…」
「分かった。それじゃおやすみ」
声がとても眠そうだったので台座に乗せてそっとしておくことにした。
「待つのじゃ、何か、柔らかいもので包んでくれんか?硬い所だと痛くて眠れんじゃ」
「感覚あったの?」
リュートが疑問に思った。
「ん?五関は全部あるのじゃ」
「そうなんだ…」
まだやる事のあるリュートはコアをベットへと投げた。
「わーー」
コアが毛布に深々と沈み込む。
「おやすみなのじゃ」
「おやすみ」
コアが眠りについた。
(さてと…)
リュートは明日に行われるバトルロワイアルについての情報を集め始めた。
試験の会場は街一つがすっぽりと入る程の円形壁の中で行われる。中は魔法とプログラムで管理されていて、本来は娯楽、実験、訓練などの様々な事に利用されている。内部は大まかに観戦席と中央の広間に分かれていて、試験は広間で行われる。
観戦席と広間の間には『壁魔法』と『幻覚魔法』で作られた障壁が生成されており、広間では体感で外との違いを感じることは無い。天候の操作も可能なため、砂漠地帯から氷雪地帯までの地形を再現しすることができる。
溶岩地帯や深海の再現をすることもできるが、試験でのの設定はそこまでの厳しくされていない。
それぞれの地域の境目には二重の半透明な壁が生成されている。幅は30メートルほどで、気候特性(掛けられている魔法)のみを半分遮断するようプログラムされている。
試験時もこの設定であるため、急激な環境の変化による弊害を心配が少なくすむ。
次に試合の細かいルールや配布される魔道具の確認をする。
勝敗の条件に場外負けが無く、障壁の破壊のみである。障壁の設定も変わっいて、耐久力が下がりる代わりに魔道具にマナを注ぐことで瞬時に回復することができる。試合開始時は自身で選択した気候地域内のランダムな場所に魔法によって転移される。また敗北した者は、魔法により施設備え付けの救護室に飛ばされる。
試験は戦闘科の受験生全てが参加者となり、広い戦場は1時間に全体の3分の1が火のような色をした半透明な壁によって徐々に縮小されていくそのため、戦闘時間は最大でも3時間となる。赤い壁は人間が通り抜けられない設定になっている。
試合前に腕時計型の発信機が渡され四角く黒い画面に赤い点として参加者の持つ発信機の方角が表示される。障壁の修復も兼ねており、外すと失格になる。
発信機には三つの設定があ、試合中に使い分けることができる。
一つ目は全員の発信機を表示するモード1次に、最も近い発信機のみを表示するモード2最後は、全ての発信機が表示されなくなる代わりに、モード1と2に表示されなくなるモード3である。
ある程度まとめ終えたリュートは余った時間をは知り合いや実力不明の人物、避けるべき相手などの行動を予想することに当てた。
(カイトとサリアはモード2を使用し片っ端からから狩って回るかな?二人とも集団戦に強くて乱戦になっても問題なく勝てる実力がある。アヤメは…全然わかんない。カイトは山岳地帯から始めそうだし、サリアはどこかな……)
リュートは生き生きとしながらペンを走らせた。
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リュートは朝起きてベットの上で周りを見渡した。机、椅子、コンピュータ、ベット、絨毯、カーテン、クローゼット、玄関が目に入る。いかにも、必要最低限と言う部屋だった。見慣れない部屋に驚いたが、すぐに学園内であることを思い出した。
「コア、起きてる?」
リュートは枕元に置いてあるコアに話しかけた。
「…」
返事が無いまだ寝ているようだ。
リュートはコアを布で包んだ後、鞄に詰めて部屋を出た。




