2-5 美春さんの弱点
小柄で色白な和風美少女の白上美春は、家事万能な有能家政婦さんである。
進士は心の底からそう思っていた。
「美春さんはなんでもできるよね」
「そんなことないですよ。わたし、背が低いから高いところに手が届かなくて」
彼女の弱点のひとつは、高所の荷物の上げ下ろしだと言った。
「進士さん、あれ取って下さいませんか?」
美春は、戸棚の上に置いてあった食器の箱を指さした。
「いいよ。これで良いかい?」
「ありがとうございます。さすがですね進士さん。とっても頼りになります」
戸棚の箱を取ってあげただけで、笑顔でめっちゃ褒めてくれる。
なにこれ、ご褒美じゃん。全然弱点じゃないよ美春さん!
気が緩んだ二人は、手に持った箱を受け渡し損ねてしまった。
しかし、進士が「あっ」と思った時には美春が猫のように飛び込んで、くるりと回転して箱を受け止めてしまっていた。
「……」
無言で頬を赤らめる美春。
「美春さん?いまの動き凄かったよ」
「あはは、咄嗟に動いてしまって……そのちょっと、はしたなかったですよね?」
「いやいや、体操選手みたいでとっても格好良かったよ」
進士が褒めると、白い肌の美春はさらに頬を赤らめるのであった。