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11-1 勇者召喚

 異世界転生者たちの会議から数日後。


 大賢者フロイが可能な限りの対策をして、進士は異世界に召喚された。

 なお、美春は最後まで着いて行くと言ってきかなかったが、準備が間に合わずに取り残された。


--

 ここは異世界。

 ここは日本の文化によく似た発展をした、異世界の極東の島国である。



 進士は、気が付くと勇者召喚の間に立っていた。

 美春の記憶にあった大和の国のお城の一室である。


 この日の進士は、対刃性のある特殊な戦闘服を着ていた。

 雪奈のメイクで髪型も精悍に整えられていた。


 何の準備もなく召喚された一周目のシンシと比べて五割増しで格好いい勇者姿だった。

 目の前には、何度も夢に登場した大和の国の姫サクヤが立っている。


「勇者さま、私たちの世界をお救いださい」


「心得た」

 進士は、喫茶店のお手伝いで身に着けた、イケメンスマイルで微笑んだ。


「ちょ、ちょっと話が早くないでしょうか?」


「こちらにも事情がある。しっかりと協力してもらうぞサクヤ姫」


「あっ……はい」

 その後、鑑定スキルを持つ神官に勇者のスキルを確認してもらうことができた。


「やはり、戦闘系スキルは無しか……」

 鑑定した神官や周囲の大臣たちは少しがっかりした様子だった。

--

大湊信士のスキル


 意志疎通 :特定の対象と意志を疎通する(異世界の知的生物と会話ができる)

 応 援  :ステータス値の一時的な上昇

 勇 気  :一時的に最大値を超えて気力体力を回復する


 (隠し) :スキルを隠す。解析スキルで見ると文字化けするときがある

 ルート分岐:(隠し)運命の分岐点を繰り返すことができる

--

 事前情報とまったく同じスキル構成だった。

 二周目もこれで頑張れという神の意思を感じた。

 これは想定の範囲内である。


 これから、大賢者フロイの提案してくれたプランにしたがって行動を開始する。

 残された時間は少ない。


「前世の俺がやれたんだ。俺も皆に協力してもらえるように頑張ろう」

 進士は、こぶしを握りしめた。


「まずは、スキルの把握と大和の国の地理や文化の把握から始めるか」

 そう言って進士は立ち上がった。


--

 その夜。

 小柄で色白な和風美少女のミハルは、『変質者』と呼ばれる闇に浸食されて性格と容貌が変質した人間の救助・討伐の任務のため、大和の国の市街地を駆けていた。


 背には陽炎めいた燐光を発する日本刀を背負っている。

 ミハルは、こう見えて怪異を祓う妖刀を扱うニンジャであった。

 やがて、ミハルは大柄で黒い装甲を身に着けている変質者を発見した。


「妖刀髪切り丸、抜刀!」

 ミハルは素早く駆け寄って、大柄な変質者を斬撃した。

 しかし、二度三度と斬りつけても、闇の浸食度合いが高過ぎて、祓う先から闇が回復した。

 大柄な変質者は、闇の浸食度合いが高く、この頃のミハルにとっては強敵であった。


「未熟……一度撤退して体制を立て直すか?」

 浸食度合いの高い変質者に苦戦するミハル。


 ミハルの気力体力が尽きそうになったとき、暖かい光が降り注いだ。

「ミハルさん!応援するからもう少しだけ頑張ってくれないか?」


 振り返ると、すらりとした体形の黒目黒髪の青年が駆け寄ってきた。

「あ、あなたは誰ですか?」


「大和の国の勇者、大湊進士だ。俺は君を助けるためにやって来た!」

 勇者進士と名乗る青年は、そう言ってミハルに笑いかけた。


--

 ――その後、進士は前世の記憶どおりにミハル、ユキナ、アンネロッテを仲間にした。

 特に意識しなくても、いつも通りに対応すると自然と仲が良くなった。


 三人の美少女は、進士の宿舎で話し合っていた。

「進士さんって、初めて会ったはずなのに、どこかで会ったことのあるような。そんな雰囲気がするのです」

「「わかる」」


 また、時期をみて大賢者フロイに依頼して無線通信機を開発した。

 剣王ハザマと忍者衆の御屋形様を説得して穏便にミハルを勇者直属の部下とした。



 そして、ついに魔王が大和の国に襲来した。


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