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9-5 サラリーマン大湊進士(4)

ルート分岐:鬼龍院社長の申し出( 受けない )

「よしよし、進士とやら。気に入ったぞ、貴様にうちの会社の半分をやろう」


 進士は、鬼龍院の申し出に少し心が動かされた。

 だが、セレブな社長の冗談を真に受けてはいけない。


「俺は、先日異動したばかりの身ですので秘書室で会社のために貢献します」


「そうか。残念だが、しばらくこのままで働いてもらうとするか」

 鬼龍院は本当に残念そうにため息をついた。


「ならば、貴様に見せたいものがある」



--

 食事が終わった後、進士と美春は鬼龍院に連れられて洋館の地下室に入った。


 地下室の床には、幾何学模様の魔法陣が描かれている。

「俺に見せたかったのは、これですか?」


「これは転移魔法陣と言う。現世と異世界を繋ぐ扉のようなものだ」


「それが実現可能なら、物流や観光事業に改革を起こせそうですね」


「そういうつもりはないのだが、お前の発想は面白いな」

 進士が、何気なく魔法陣の一端に触れると魔法陣が淡い光を放った。


「やはり、鍵は貴様か勇者」

 そのとき、転移魔法陣から壊れたラジオのような雑音とともに女性の声が聞こえた。


「・・・勇者さま、世界の破滅が近づいています。人類をお救い下さい・・・」


「勇者・・・だって?」


 やがて、十秒もしないうちにその声は小さくなり聞こえなくなった。

 転移魔法陣は、光を放つこともなく沈黙した。


 その後、進士が触れても転移魔法陣が再起動することはなかった。



 結局その日は、洋館に一泊してから帰宅した。



--

登場人物紹介(1)


鬼龍院瑠璃きりゅういん るり


 つやのある赤い光沢のある髪が自慢の、鬼龍院瑠璃は進士が勤務する会社の業務取締役社長である。

 目鼻立ちのはっきりとしたセレブ感のある若くて美しい女性で、その経営手腕より同業他社からは魔王と恐れられている。


 前世は、魔族の国の魔王キルリ・ルリと名乗り、誠実公正な統治をする王であった。

 魔法力に優れるタイプの魔王であり複数の魔法を操る。

 最終決戦にて勇者には勝利したようだが世界の崩壊に巻き込まれて破滅した。


 転生の秘術によって多くの記憶と複数のスキルを持って現代に転生したが、現代は魔法が使えないため大幅に弱体化している。

 異世界へ帰還のために活動しており、会社の経営もその一環である。


「お前に会社の半分をやろう」


 自分より強い男性に憧れている。

 前世で自分を撃退した勇者もその一人である。


--

登場人物紹介(2)


武智武士たけち たけし


 長髪ロン毛眼鏡のイケメン、武智武士は進士の勤務する会社の秘書室室長である。

 頭の回転が速く、かつ周囲に気配りのできるエリート社員で部下からの信頼も厚い。


 前世は、魔王の副官で魔族では珍しい知将タイプの魔法使いだったが、魔王軍と大和の国の総力戦のときに最後まで魔王を守って戦死した。


 転生の秘術によって、多くの記憶と複数のスキルを持って転生した。

 現代は、魔法が使えないため大幅に弱体化している。


「魔王様のご慧眼にはいつも頭が下がります」


 社長の鬼龍院を魔王様と呼んで心酔している。


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