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例えば俺の前世が勇者だったら、見知らぬ美少女が次々に押しかけて来たりするのだろうか?  作者: ゆす


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6-1 家政婦さんと買出しデート

 黒目黒髪の青年、大湊進士はごくごく普通なサラリーマンである。


 祖父母から管理を受け継いだ少し古いが大きな一軒家を下宿屋に改装して、三名の美少女と住んでいる。

 なお、最近もふもふした大きな犬が増えた。



 とある日曜日の午後。

 駅近くの商店街に、進士と家政婦の白上美春は食材の買出しに来ていた。


 進士が両手に持ったお買い物バックには、たくさんの食材が詰め込まれている。

「進士さん、重そうですけど大丈夫ですか?」


「まかせて。いつもこんなにたくさんの食材を買っているの?」

 美春は、小柄で色白な和風美少女である。

 進士は、男子として女性に重い荷物を持たせるわけにはいかないと思って頑張っていた。


「いえ、普段はそれほどでも無いのですが、ちょっと張り切ってしまって」

 美春は、すみませんと言って眉を下げた。


「いつもお世話になっているのはこちらの方だよ。遠慮なく頼ってくれ」


「ありがとうございます。あっ、ちょっと休んでいきませんか?雪奈さんがお勤めの喫茶店があるのです」

 おいしい珈琲と紅茶、おしゃれなパンケーキや軽食が食べられる名店という噂だった。


「いいね。面白そうだ」

 そう言って、二人並んで噂の喫茶店に向かった。



 駅の近くに、高級感のある落ち着いた良い雰囲気の喫茶店があった。


「結構込んでいるな」「そうですね」

 幸い、窓際の席がひとつだけ空いていた。


「あっ、二人とも来てくれたの?ありがとう!」

 そう言って、メニュー表を差し出したのは、喫茶店の制服であるメイド服を着た花方雪奈だった。

 整った顔立ちで足が長い今どきの美少女である雪奈にとても良く似合っていた。


「ご主人様、いっぱいサービスしちゃうからどんどん頼んでね!」


「いや、そういうお店じゃないだろ。ここ」

 確か、少し高めだがそのぶんゆっくりとくつろげると地域の情報誌に紹介されていた記憶がある。


「ずいぶんと忙しそうですね」


「そうなの。最近はいつも満席なの」

 そう言って、雪奈はため息をついた。

 すみませーんと遠くの席から店員さんを呼ぶ声が聞こえた。


「注文が決まったら声をかけてね」

 そう言って、雪奈は去って行った。


 その後、注文したパンケーキセットは美味しかったが、出てくるまでにかなりの時間がかかった。

「やっぱり人手が足りてないんじゃないかな」

「ちょっと心配ですね」


 シンシ達が会計を終えるまで、喫茶店はほぼ満席だった。



 その後の帰り道。

 進士と美春が買い物バックを持ってゆっくりと歩いている。


「進士さん、私はこれからも家政婦のお仕事を続けても良いですか?」

 美春は、不安そうな表情で進士を見上げた。

 美春は、進士よりも頭一つ小さい。

 肩ほどまである艶やかな黒髪が夕日を反射して輝いていた。


「そうか、そろそろ契約更新の時期か」

 美春のおかげで、進士の食事と生活環境はかなり改善されていた。


「やはり、おひとりの生活の方が、お気楽でしょうか?」


 誰にも干渉されない時間は、自由だったが空虚だった。

 それに、カップめんとコンビニ弁当だけの食生活にはもう戻りたくなかった。


「いや、むしろこちらからお願いするよ。美春さん、これからもうちのお世話をして下さい」

 進士は頭を下げて頼んだ。


「はい、喜んで。ちゃんと聞きましたからね。追い返そうとしてももう遅いですよ」


「どうして美春さんは……いや、なんでもない」


「どうしたんですか?変な進士さん」

 そう言って、美春はにっこりと微笑んだ。



 進士は、その笑顔を見て「どうして美春さんは、そんなにも一生懸命に俺のような冴えないダメ人間のお世話をしてくれるのだろうか?」と考えていた。


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