3-3 なにこの新妻感……
ルート分岐:雪奈とお付き合い( お断りする )
雪奈曰く。
「相性120%もあれば、二人はすでに付き合っているも同然」とのこと。
「いや、そんなワケあるか!」
いくら有名なアプリでも120%超えの数値は胡散臭い。
「そ、そうですよね?」
進士の言葉になぜか美春が、ほっとため息をついた。どうしてかな?
「ところで、そちらの可愛い彼女さんは……あなたどこかで会ったことある?」
雪奈が、美春を見て言った。
「あっ、自己紹介が遅れました。
わたくし住み込みで家政婦をしている白上美春といいます」
「住み込みで!?こんなに若いのに?」
「こう見えて美春さんはなんでもできる万能家政婦さんなんだよ。俺も優秀すぎてびっくりしたんだ」
「えっ、進士さん。私はなんでもはできませんよぅ」
進士の言葉に恥ずかし気に謙遜する美春。
「いや、私が驚いているのはそこじゃないんだけど」
「そうだ。そろそろ夕ご飯にしますね。雪奈さんの分も準備しますから少し待っていてください」
美春は立ち上がって、台所へ向かった。
「ねぇ?あんたたち本当に付き合ってないの?」
「美春さんは家政婦さんだよ?」
「あんなに可愛いのに?」
そうこう言っているうちに食卓に複数の椀や小皿が並んだ。
彩りもあざやかな和風の料理である。
「ん?今日は、あんたの誕生日なの?」
「いやいや、俺も最初は驚いたけど、いつもこんな感じだよ。しかも本当に美味しいから遠慮しないで食べてみて」
「遠慮なんかしないけど……ぅわ、本当にすごっく美味しい!?」
「もう、進士さんも雪奈さんも大げさなんだから」
そう言って、美春は頬を赤らめた。
「なにこの新妻感……。これは、うかうかしてられないわ。美春さん!」
雪奈は、真剣な表情で美春を睨みつけた。
「は、はい。なんでしょう?」
「私と結婚してください!」
「「えぇっ!?」」
「えぇい、美春さんはあんたの家政婦さんには勿体ないわ。美春さんは私が嫁にもらうから!」
そう言って、雪奈は美春に抱きついた。
「それにこの子。会ったばかりのハズなのに、どこか他人のような気がしないのよ。しかも、とっても可愛いし」
雪奈が美春にぴったりとくっついて頬ずりをしている。
小柄な美春を、スタイルの良い雪奈がぎゅっと抱きしめている。
進士は、ちょっとえっちな感じがして目を逸らした。
「俺、席を外そうか?」
「あぁっ、進士さんおいていかないで下さい!」
出会ったばかりのはずなのに、なぜかずっと前からの親友だったような、他人のような気がしない三人だった。