表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

二話

坂川は何処かへ瞬間移動させられるとその直後に吐き気に襲われた。満「うぇ、おえぇ〜ゲホ、ゲホッ!何だ、何なんだ、」坂川は息継ぎしながら覚束ない感覚で状況の把握に努めた。坂川は唾液を吐いた状態のまま周囲を見渡すと部屋には合計200近い本棚がぎっしりと所狭しに置かれていた。坂川は本棚の間を通りながら部屋の散策を始めた。坂川は本棚の中からなんとなく本を取り出して読んでいると突然後ろから声をかけられた。少女「あらあら~相当なガリ勉ちゃんなのかなぁ~君は」満「…!お前か、どこにいるんだ?もしかしてどっかから遠距離で喋っているのか?」少女「私は最初からここにいるよ、」声のした方に坂川が振り向くと少女は部屋の棚の上でぽりぽりと足を掻いていた。直後、少女は一瞬で消え失せて坂川の背後に立った。目の前から突然消えた少女を坂川は探していた。満「えっと、あの、ちょっと…」少女「何だい?君の考えている事を当ててあげようか、此処からの脱出法を知りたいんでしょ」坂川が驚いて後ろを振り向くといつの間にか至近距離で少女が立っていた。少女「とりあえず私は君のことを地球へ送り返そうという気はあるからね、そこは安心して欲しい。でもその前に来てもらいたい場所とそこでやって欲しいお願いがあるんだ。それじゃあ君はこの建物の洗礼の間へ向かって欲しい、あとのことは私の方で手を回しておくから。」そう言うと一瞬で少女は消え去った。満「えっ?あ、まだよく分かってないし、疑問も解消できてないんだけど…それに洗礼の間に行けと言われても場所が分からないし…」坂川の疑問と不安が拭えない中、少女は坂川へ念話を送るための妖術を発動させ坂川と術式の回路を繋いだ。満「うっ、頭が痛い…」少女「心配しなくて大丈夫だよ、念話を円滑に行うための回路を繋いでいる最中なんだから。」満「記憶の共有ってどうゆうこと?回路って?」坂川の理解が及ばず戸惑っていると段々少女との回路の接続ができ始めた。

すると坂川はフワフワと頭が浮いているみたいな不思議な感覚になって、ヒミコが念話を飛ばしてきた。満「あーあー!、君には聞こえてますか?」満「うわっ!何これ、何これ、って何この感覚は…」少女「それじゃ手っ取り早く説明するけど…まずは君の現在位置を確認して………今、君が居る場所を下に降りて真っ直ぐ進んだところに曲がり角がある。二つ目の角を右にまわって東に進んだ突き当たりに洗礼の間があるよ。」満「…分かったよ」坂川がヒミコに言われた通りに建物の中を歩いていくと一つの大きな部屋に辿り着いた。満「…ここが洗礼の間なのか?」

少女「そうだよ、よくこれましたね、お疲れさまぁーパチパチィ~」行き着いたところでいきなりヒミコがわざとらしそうに両の手のひらを打ち合わせて坂川をびっくりさせる。ヒミコ「ではでは、これで案内を終了します。」

満「御託はいいからさっさとどうすればいいか教えろ。」少女「なによ、その態度、」少女はぷくぅと頬を膨らませて機嫌を損ねたとアピールした。満「それでこれから僕はどうしたらいいんだ?」少女「ほんと急かす人だね、君はさ、」少女はそう言うと右の人差し指を坂川に向けて青白い光を発射した。

そして急に坂川の体が硬直し、動けなくなる。体は手足をピクピクと小刻みに揺らしたりしかできないが口は動かせるようで喋ることができた。これは前に少女と会った時の状況と似ているので多少精神が動揺したが現状を理解すると落ち着きを取り戻した。坂川は少女に視線を移すと「何をしようっていうんですか、コンニャロ〜」と言って少女を睨みつけた。

少女「どうもこうもないんじゃないかな、此処は儀式を行う為の部屋で素人である君が儀式を行おうとすれば失敗する可能性が高いと思うのは当然じゃない。大丈夫、用事が終わればちゃんと戻してあげるから。」そう言うと少女はゆっくりとお堂の扉を開け始めた。少女「これで君もお堂のご本尊の中まで入れるよ、早くしないと扉が閉じちゃうから入った、入った!」満「あっ、ちょっと…わぁ!」少女はいつの間にか坂川の手を掴み引っ張って、ものすごい勢いで部屋の中を移動した。そして少女に流されるまま部屋の中央にある庭園のこじんまりとした御堂の前に立った。少女「ではさっそく乗り移らせてもらうとするよ。」2秒後、坂川の意識は一瞬でふわふわと浮いているような感覚に陥った。満「うわっ!なにこれ、なにこれぇー!暗くて何にも見えないし何なのこの感覚は!」少女「ヤッホー、君の体は今、意識と体を分離して私が体を制御しているんだ、そして君の意識は体内で神経以外の感覚や機能を制御しているって訳だ。これから儀式が終わるまでこのままだから。」満「上手く分かりませんでしたが一応、静かにしときます。」少女「物分かりがよろしくて助かるよ、」坂川は体の制御を少女に委ねると彼女は坂川の体を操ってご本尊の中へ入っていった。すると不思議な声が左側の扉の辺りから坂川へ掛けられる。謎の声「では儀式をお始めください。」少女「はい、」少女はゆっくりとご本尊の中にある祠の手前に置かれている棚から神名帳を手に取ると、少女「私は異世界よりこの地に降り立つ者、自らの身に賭けて五名の神に誓わせていただきます、第一神に光穿神、第ニ神に熱雷神、第三神に透明神、第五神に創造神の方々には平安と繁栄を祈願し神々の栄光あれ!」少女は神名帳を読み上げると棚の上に神名帳を戻して再び発言する。少女「次に祠のご開帳を行い拝ませていただきます事にご許可を願いますように、」2秒後、祠は閃光のような光を放ち始めてゆっくりと音を立てて祠の扉が開き始めた。それに呼応して神名帳も閃光のような光を放ち神名帳自体を覆った。祠の中には地蔵が鎮座しており地蔵の顔には真っ白なお面が付けられていた。少女「その力を封印し、天上の者の名において神々の力宿り神名帳で眠るつがい深淵なる闇よ、」そう言うと少女は地蔵のお面へ神名帳を慎重に押し当てた。すると神名帳は閃光のような光を再び放ってお面に一本の黒々とした線を焼き付けた。黒々とした線がお面に焼き付けられると地蔵がお面の下から息を吐いて「当人の意思に基づく要請を受け取らせていただいた、この地にそぐわぬが生きとし生ける生命よ、よくぞ参った。褒めて遣わすぞ。」と喋った。少女「御意、」その後、すぐに祠の扉は閉まり儀式は終わった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ