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ターコイズ・ウェディング

チャペルへの扉が開くと…


「殿〜!」


バージンロードの中央あたりで待っている優也の元へ…ドレスの裾を自分で左右に持ち上げたジーナは

優也に飛びついて…彼を抱きしめた…


マシュマロのようにふわふわな…可愛い水色に白をあしらったドレスでジーナは登場した。


「な〜あ!…殿…このふわふわのドレスのスカートの中…どうなってるのか…見たい…?」


「な、何を言い出すんだよ…」


「照れんでええやん…〝パニエ〟っていうモンが入ってるらしいで…殿にやったら後で見せたげても…え・え・で…!うふふ…」


ブーケを持った彼女は細い手を優也の腕に回した。


「殿…ウチと殿の事…みんなに認めてもらお…なっ

!」


二人で祭壇のマザー・ハーロットの元へゆっくりと歩みを進めて行く…


「精霊の姐さん…ウチはこの人と一緒になります…

この国は奥さんが何人いてもええし…殿はこれからずっとウチと姉ちゃんの殿になります…」


ジーナは自分の右側を上目遣いに見上げた…


「……!」彼女は息を呑んだ…


ゴゴゴゴゴゴゴ…参列者席からプラティナの刺すような視線が…


「そんな事…許されるワケないでしょ…」

 

「お、おーこわぁ…殿〜!ウチを離さんといてやぁ〜!」


もう一度優也の胸に顔を埋めるジーナ。



優也はニコッと笑いながら花嫁のヴェールを両手で上げた… 「殿…?」



…口づけの代わりに優也はジーナの瞳を真っ直ぐ見つめて口を開いた…


…初めてウチのマンションで君に会った時、まるで

自分に妹が出来たような気になったよ…


君は色んな可愛い表情を僕に見せてくれて…いつも僕の事を頼りにしてくれて…僕も君のことが心配で眠れない夜もあったよ。


僕が人間界やこちらの世界で仲間達に囲まれて楽しい時間を過ごしている間も…君は壺に入って広い海を…バビロナに帰っても姉さんの事をいつも思い遣って…僕はその事を思い出すと心が震え出していつも涙が出そうになる…


でも…これからは僕達はずっと一緒だ…

君が笑ったら僕達も嬉しい…

悲しい事や辛い事はみんなで分け合える…


そんな世界を創りたい…今日がスタートだ…


僕達の夢に向かって進もう…


君は僕が守るよ…ジーナ…」



「殿…ウチ…幸せや…ううう…」両手で顔を覆うジーニャ…指の隙間から涙がこぼれ落ちていく…




優也は涙を抑えようとしているジーナの首に彼女の短剣についている宝石と同じ…トルコ石が散りばめられたペンダントを彼女の首にそっと回した…


彼女はペンダント・トップのターコイズを手に取り…



「ホンマにありがとう…」


ジーナは人間界のアクセサリーショップで見ていたペンダントを思い出した。


そうか…殿はあの時の事を…



「君と僕達の絆は確かにあっても見えないもの…だから今日、君と僕達の絆を確認した記念にこれを貰って欲しいんだ…


これからずっと続く永遠の絆を…」



この時…片時も忘れた事のなかった家族の事、仲間の事、姉の事を忘れて優也の誠実な言葉にジーナは

大好きな殿だけを想っていた…


「殿…そしてみんな…今までホンマにありがとう…


これからはウチとずっと一緒にいて欲しい…どうかよろしくお願い致します…」


永い間…王族ではないがみんなを励まし続けて…王女を誰よりも側で支えてきた姫はみんなに祝福されて優也と…愛すべき仲間達と一緒に未来へ向かって生きていく絆を示した。


ジーニャやロジャーが流した…そして種族を超えた優しさに心が震えた人々が流した涙がマザー・ハーロットの杯に葡萄酒となって現れた…


「おお…また葡萄酒が…次の婚礼は誰じゃ…?」


「やぁっ!」ジーナが投げたブーケはナギの手元へとやって来た…



「優也さん…よろしくお願いします…!」


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