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前室にて

それからすぐに僕達はマザー・ハーロット様にお願いして婚礼の準備をする時間を頂戴した。


そしてジーニャは空中庭園の中の他にある部屋に僕達を案内してくれた…


「ここをお使い下さい…」


僕とティナは同じ部屋で…あとの花嫁さん達は個別に部屋を取ってもらったようだ。


「えへへ…私達、夫婦だから一緒の部屋だよね…

当たり前なんだけど嬉しいわ…」


ティナは満面の笑みを浮かべて僕の身体を抱きしめてきた…


「そりゃ勿論だけど…僕は君に着替えさせて貰わないと衣装も出せないからね…」


「ようし!ダーリンをとびきりカッコいいタキシード姿にしないとね…」


指をパチンと鳴らすティナ…一瞬で僕の姿は胸に白いバラのコサージュを付けた同じ色の…白いタキシード姿に変わった…


「わあ…ダーリン…やっぱり素敵よ…」


「ありがとう…ティナ…愛してるよ…」


「私もよ…ダーリン…」


僕達は口唇を重ねた…



「君も…着替えなきゃ…ティナ…


君のウェディング・ドレス姿を見るのはこれで三度目だね…いつも綺麗だけど、とびきり美しい君を三回も見れるなんて…僕は幸せ者だね…」


「ダーリン…ダーリンの為に私…ずっと綺麗でいられるよう…頑張ります…ずっと私の側にいてね…」


もう一度…指をパチンと鳴らすティナ…


ピンクのバラのコサージュを付けた可愛いティナの…同じピンク色のウェディング・ドレス姿を見るのは初めてで僕はその美しさに言葉を失った…


「ダーリン…どうしたの?」


「綺麗だ…僕の白いタキシードまで君のドレスの色に染められてしまいそうな位、僕の心は君の事で一杯だよ…」


「まあ…うふふふ…あなた…大好きよ…」


「僕もだ…ティナ…」


僕達が二度目のくちづけをした…その時…





「おーい!婿殿…ご注文の品を届けに来たぞ…」



「きゃっ!」「お、お義父さん…」


ティナは頰を膨らませて…


「もう…ノックぐらいしてよね…お父様…」




「すまん、すまん…しかし…お前達はいつまでも仲が良いのう…まるで前世からの恋人のような…」


「嫌だわ…でも私もそう思う時があるの…

 ダーリンはずっと私の旦那様…今も昔も…」


「…ティナ…」


僕はティナのその言葉を一生忘れないだろう。



「さあ…バビロナの為に…頑張ろう…ティナ…」


「ええ…ダーリン…でも…他の花嫁さんによそ見しちゃダメよ…」

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