表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/103

心のこもった願い

「わらわはバビロナから手を引いたものの…自分の愚行の後悔にさいなまれ…ここで眠りに就く事にした。そなた達は精霊となって朽ち果てた王朝を忘れ…自然界で幸せに暮らしているものと思っておった…


そなた達には本当に迷惑をかけた…わらわを許してくれぬか…」


泣き崩れていたジーニャは必死に平静を保ってマザー・ハーロットの前にひざまずいた…


「マザー・ハーロット様…私達を精霊として蘇らせて頂いて本当に感謝の言葉もございません…


ただ…我々はあなた様が察しておられる通りもう一度…あのバビロナで魔法使いとして暮らしたいのです…どうか願いを聞き入れては頂けませんか…?」



「ジーニャとやら…わらわは…怖いのじゃ…」


「マザー・ハーロット様…?」


「今のバビロナにはそなた達…精霊だけが棲んでおる…精霊とは自然界のエレメントが形を成し、生命を得た存在…


それ故に魔法使いが魔法因子と呼ぶエレメントを持つ自然がバビロナには豊かにある…


この世界から失われつつある自然たからを巡ってまたバビロナが狙われるような事が起こらんとも限らん…容易に歴史を戻すような事は…」



「大丈夫や!」



マザー・ハーロットに向かって大きな声で叫んだのは…ジーナだった。



「精霊の姐さん…ウチら魔法使いが精霊の皆さんに昔…ご迷惑をかけてしまった事…こちらこそ姐さんにお詫びしてもしきれん…」




「ジーナ…」ジーニャ…そして優也達は彼女をじっと見つめる…





「でもな…ウチ…海を超えて信頼できる大切な人を見つけて…その人とまたバビロナに帰ってきて…


素晴らしい仲間にも巡り逢えて…一緒にバビロナを狙うヤツと闘って…分かったんよ…


この人達となら…昔のバビロナよりもっと…


シャブリヤール様が望んだ以上の素敵なバビロナが築ける…


精霊と魔法使いがもう一度仲良く暮らせる素晴らしい国が…


姐さん…お願いします…どうか…どうかウチらの望みを叶えて下さい…」





不作法な言葉かもしれない…でも心のこもったジーナの願いにマザー・ハーロットは言葉を失った。



優也も二人の純粋な想いに心を打たれて黙ってはいられなくなった…



「僕からもお願いします…どうか二人の望みを…」




「うん?そなた…魔法使いでは無いな…」




「はい。僕は…人間界の者です…」



「何!…人間とな…!魔法使いとたもとを分けたのでは無かったのか?」


「昔…お互いの種族が決別してしまうような事があったと伺いました…

でも縁あって僕は妻のプラティナと出逢いました…

そして二人の子供に恵まれて今はこの世界のお義父さんとお義母さん…仲間達や他の皆さんにも祝福して頂いております…


種族なんて関係ない!問題は自分が相手を認め、相手にも認めて貰えるよう努力する事だと僕は思います…」


「ダーリン…」優也の言葉にプラティナは微笑む…




マザー・ハーロットは優也の顔を…眼を黙って見つめた…



「ホッホッホッ…」



彼女は突然笑い始めた…




「なるほど…そう言う事だったか…


分かった…但し条件があるぞよ…」



「…条件…ですか…?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ