遂に見つけた!
ステンドグラス越しに溢れんばかりの光が聖堂の中に差込んでいる…
まるで学生の時、世界史の勉強で知って、その美しさに人生で一度は大好きな人と見てみたいと思ったチェコの聖ヴィート大聖堂のような美しさであった…
「何故…こんなに光が…」
不思議そうにしている僕達だったが…
「優也様!一度外に出てみて下さい…!」
ジーニャさんの声に気付いて僕達が神殿に入ってきた入口から外に出ると…
「あっ!」
どういう仕組みで空中庭園の屋上から壁を伝って流れていた水が…止まっている。
ジーニャとジーナは顔を見合わせる…
「水が止まったところなんて初めて見ました…」
「ウチも…」
「水が止まったという事は…屋上はどうなっているんだろうか…?ジーニャさん…屋上へはどうやって上がるのですか?」
僕が尋ねると彼女は「こちらです…」と階段に案内してくれた。
少し急な長い階段を上がって…僕達は屋上にたどり着いた。
屋上は丘陵よりもっとバビロナの隅々まで一望できる高さの緑の多い公園のようになっていた。
ナツメヤシのような植物が繁っており、水が流れていた形跡があってベンチにかけて読書でもしたくなるほどの美しさであった…
「やっぱり水が…あっ!」
大きな噴水にかけよるジーニャ…彼女が噴水の中を覗きこんで驚く…
「そ、そんな…こんな所に…」
「どうしたのですか…?あっ!」
噴水の水が無くなって…下の階へ続く螺旋階段が見えた。
「そうか…初めに地下に溜まっていた水が抜けて…神殿の屋上へ供給されていた水が止まって残った水がその抜けた空間に…
噴水から下の階に降りる階段がでてきたという訳じゃな…」
ヴァルはジーニャに歩み寄り一緒に螺旋階段から下の階を覗いた。
「へ、ヘッヘーン!ウチの手柄やな!願いを叶えてくれる魔法のランプといよいよご対面やな!」
「そうだね!ジーナ…ここまで来られたのは君のおかげだね…」僕はジーナに微笑みかけた…
「わ〜い!殿に褒めてもうたわ…姉ちゃん!心の準備はええか?」
「ええ…バビロナを絶対復活させないとね…皆さん…行きましょう…」
僕達は水が完全に引いた噴水の中へと入って螺旋階段を下に降りた…
そこは聖堂よりも小さな…そう…
幸せな二人が結婚式を挙げるのにピッタリな
チャペルのような空間だった…
そして小さな祭壇にはくすんだ金色のランプが静かに置かれてあった…