アンタねぇ〜!
そこは何も無い…がらんとした空間だった…
「どういう事だろう…?水が引いてこの空間が現れたのだろうか…?」
僕の疑問に愛ちゃんが応えた…
「そういう事じゃない?ほら…」
彼女は広い空間の向こうの端を指差した。
なるほど…緩やかだがこちら側から向こう側に向かって傾斜がついている…
そして可動式のシャッターみたいな壁が天井近くの穴と床に面した穴二つを塞いでいる。
「あの穴から水が外に…」
「そうか!…分かったわ…この丘陵の北側に山岳地帯があるでしょ…きっとそこにこのバビロナに流れ出る母なる川…バビロナ川の源流があるのよ…その源流へ溜まっていた水が流れ出たんだわ…」
「なるほど…流石は愛ちゃん!高校生の時、その頭の回転の速さで僕はよく勉強を教えてもらったよね…お陰で僕は大学受験に成功して…今の僕があるのは君のおかげだよ…」
「な、何よ…優也くん…古い話を持ち出したりして…それはあ、あなたが頑張ったからじゃないの…」
クールな愛ちゃんの照れた顔は本当に可愛いなぁ…
そんな優也の背後で
メラメラメラメラ…
ジーナの嫉妬の炎が燃え上がった…
…ワァオ!出たで出たで!地味キャラその二…
殿にくっついて何処でも来ると思ってたら…
学校の同級生やったんかい!これはアカンで!
アカンでしかし…!
殿は…パッと見やのうて中身を評価してはるみたいやしな…ひょっとしてコイツもプロか?…何人プロがおんねん…くそっ…!
ジーナは横にあったレバーのようなものを思いっきり蹴っ飛ばした…レバーは勢いよく反対側に倒れた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「ま、またか…?今度は…?」
チャポン…
「チャポン…?」
よく見ると足元に水が…
空間の向こう側に視線を上げるとシャッターが開いて天井近くの穴から大量の水が噴き出し始めた…
「み、みんな…階段を上るんだ…急いで!」
「きゃあ…ダーリン!」「逃げろ!ティナ…」
僕は近くにいたジーナの手を取って走り出す…
「ま、まさか…またウチが…わー!殿…すんまへん!」
「ア、アンタ!何でもかんでも殴ったり蹴ったりするんじゃないわよ…!」
全速力で走りながら怒るプラティナ…
「すんまへ〜ん!」後に続くジーナは申し訳無さそうに叫んだ…
「はあ…はあ…はあ…」
僕達は洗礼のプールの上の踊り場まで戻ってきた…
「みんな…無事ですか?」
「な、何とか…」「わ、私も…」
その時…僕は地上の方から差し込んでくる光に
気付いた…
…何だろう…あの光は…
僕がずらした鉄板の蓋の隙間から地上へと上がると…その眩しさに僕達は目を疑った…
これは…