ここはどこ?
「ダーリン…」
僕とティナが顔を見合わせているのを見てジーナさんは「殿…ジュエラ王国のこと知ってはるの?ひょっとしてここがジュエラ王国なん?」と詰め寄ってきた。
「ジーナとやら…ここは人間界じゃ…」
黙って話を聞いていたヴァルがゆっくり口を開いた…
「人間界…?」「お主…魔界の者なら魔法使いではないのか?」
「ああ…そう!魔法使い!魔法使いやで!あははは…」「ちゃんと魔法は使えるのか…?」「失礼な小悪魔やな…魔法くらい使えるわ…!」
ジーナはパチンと指を鳴らした。
リビングに置いてあったバスタオルがふわりと宙を舞う…
そしてジーナと優也を一緒にぐるぐる巻きにした。「うわわわわ…」
「いや〜ん。殿…これでもう、ウチらは離れられへんなぁ…」
「もう…何やってるのよ…」ティナもパチンと指を鳴らした。
洋裁ばさみがふわりと浮いて二人に巻きついているバスタオルを真っ二つにジョキジョキと切った…
バチバチッ…!優也を巡る女の戦い…第2ラウンドが始まろうとしていた…
「優也…馬鹿馬鹿しいから、わらわはもう戻るぞ…良いな?」「あ、う…うん…」
こうしてヴァルは僕の身体の中に戻った…
「とにかく今日はもう遅いから明日みんなの知恵を借りて考えようよ…ね!」
僕の言葉にティナもジーナさんも仕方なくといった感じで頷いてくれた。
「ティナ…申し訳無いけどジーナさんを泊めてあげてくれないかい?」「あなたがそう言うんなら…仕方ないわね…」
「殿…それなら心配御無用!ウチは壺の中に帰るよってに…この中にはバスも洗面所もありますさかい…ほな皆様おやすみなさい…
そう言うと彼女は飛び出して来た壺にまた吸い込まれていった…
「殿…急に現れて迷惑かけたウチのこと…嫌いにならんといてね…おやすみなさい…」
キュン…
ジーナの素直な言葉に優也の胸は締め付けられる…どんな形であれ、国を追われて彷徨っていた彼女を何とかして助けてあげたい…
そう思った。
プラティナはそんな優也を見てガックリとうなだれた…「はあ…またダーリンの前に謎の女性が現れたわ…もう…ダーリンは私のものなんだから…」
ヴァルプルギスはテレパシーをダイナに送った…「ダイナよ…わらわの記憶に間違いが無ければ…パルテに調べさせてくれ…頼んだぞ」「御意…」