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殿


「優也さん…あんた!何をしてんだい…?」

いつもは温厚な性格の管理人さんが珍しく怒鳴り声を上げた…


「こ、これは…その…」


その時、玄関からミスとリルの声がした…

「おばちゃ〜ん!ママ〜!」「パパ…大丈夫…?」「あっ、あんた達…」子供達が心配になった管理人さんは玄関の方に戻った…


プラティナは放心状態でその場に立ち尽くし、優也も訳が分からずどうすることも出来ずに同じ様に立ち尽くしていた…


アラビア風の美女は優也に抱きついたまま寄りかかった…優也はそのまま尻もちをついて

その場に倒れてしまい、彼女が馬乗りになる形になった…


殿との…」美女は優也の事をそう呼び、頬を両手で挟むように自分の方に優しく引き寄せて自分の口唇を優也の口唇に重ねた…


「なっ…!」「夢よね…?これは夢だわ…あははは…は…」バタン!

ティナは余りのショックにその場に倒れ込んでしまった。「ティナ!」優也は美女を押しのけてプラティナに駆け寄った。


「まずい…!ダイナ!ダイナよ!」

「はい!おひい様!」「取り敢えずこの場を取り繕うのじゃ!」「御意!」


優也の中のヴァルプルギスがティナの中のダイナに指示を出した…




リビングにミスとリルを連れて管理人さんが戻ってきた…


「あれ?このおねえちゃん…だれ?」リルが不思議そうな表情で彼女を見つめる…

「さあ…優也さん…これはどういう事か説明しておくれ!事と次第によっちゃ…」

「違うんです…管理人さん…」

「ティ、ティナちゃん?」


気を失ったはずのティナが管理人さんに向かって微笑んだ…

「実はお鍋をかけてるのを忘れてたのは私なんです…主人は…優也さんは私の遠い親戚の彼女を煙の中で探してくれていて…

でももう煙も消えたみたいで何事も無くて良かった…ご迷惑をおかけしてすみませんでした…」そう言って深々とお辞儀をした。


管理人さんはニッコリ微笑んで…「なあんだ…あたしゃてっきり優也さんがよその女性を家に連れ込んでいるのだと勘違いしてしまって…許しておくれよ…あたしはあなた達にいつまでも仲の良い幸せな家族でいて欲しかっただけなんだよ…」


「優也!」ヴァルが僕の頭の中で名前を呼んだその一言でようやく自分を取り戻した僕は「いえ…こちらこそすみませんでした…また改めてお詫びに上がります。子供を寝かせたら後始末にかかります。」


「そんな…気にしないでおくれよ。みんな無事で仲良くしてくれるなら何も問題は無いんだよ…じゃああたしは帰るからね…また困った事があったら遠慮なく言うんだよ…」


「はい…いつもありがとうございます…おやすみなさい…」


「さあ…あなた達…パパはお姉ちゃんとお話があるようだからママとお風呂に入って一緒に寝るわよ…」「えー!あたしパパといっしょがいいなあ…」「ぼくも…」「今日はガマンしなさい!さ、早く行くわよ…」


リビングを出る前にティナ…いやダイナさんは僕に一つウインクで合図をした。


「ふう…なんとか誤魔化せたようじゃな…」

「ありがとう…ヴァル…」

「それよりもあやつじゃが…」


しばらく様子を見ていた彼女だったが、また僕と二人きりになったのを確認して僕の方に歩み寄って来た…


「殿…」「君はいったい誰?どこから来たんだい?」


「ウチ?ウチはジーナって言います…助けてもろうたお礼に殿のお嫁さんにならしてもらいます。よろしゅうおたのもうします!」


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