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止まった時間の中で

「イミテ!俺達だけでなくバビロナまで手にかけるなんて…絶対に許さないぞ!」


魔法のじゅうたんに乗った少年の優也は短剣を振りかざして叫んだ。


…優也さん…幼い頃の…あの方にそっくり…

ジーニャは目を大きく見開いた…


 



「フン!またお前か!さっきから見ていたが随分と小さくなったじゃないか!そんな身体でボクちゃんやコッカトリスに勝てると思っているのか?」


「ミナイ…!」

ジーニャは呪文を呟くように唱えて自分自身に魔法をかけた…




「出来るさ!…クロノ!」


優也は時間を止めて青い宝石の短剣を突き立ててイミテに襲い掛かろうとした。


キィィィィン!


振り下ろされた短剣の刃を美しい緑の宝石が入った錫杖しゃくじょうが止めた。


「じ、時間は止まっているはず…何で…?」


ジーニャはゆっくりと口を開いた…


「…自分自身の周りにだけ人の使った魔法の影響を受けないバリアを張っています。つまり、あなたが今、この世界の時間の進行のスピードをゼロにしていても私のバリアの中ではいつもの時間のスピードが流れています…」


そして彼女は涙を浮かべながら…


「お願いします…優也様…このままバビロナから退いて貰えませんか…?


ジーナは貴方を本気で愛しています…私には分かります。


ジーナを連れて貴方方あなたがたの国へお戻り下さい…イミテ様は私が命に変えても貴方方に手出しはさせません…この通りです…」





「ダメだよ…」  「えっ?」


「命に変えてもって…何らかは君が犠牲になるって事じゃないか…」


「それは…」


「姉ちゃん!」ジーニャの頭の中にもジーナの声が響き渡った…そして実体化した彼女が現れた。


「ジーナ…」 


「姉ちゃん…王女として国を守っていくという事はウチなんかに出来っこ無い大変な事やと理解わかってるつもりや…


でもな…もし、ウチが姉ちゃんで姉ちゃんがウチやったら…


ウチが自分自身の気持ちに蓋をして国の為にこんな気持ちの悪いオッサンと一緒になるって言うたらどうする?」



…ジーナ…気持ちはわかるけどオッサンって…




「く、国を治めるっていう大義の元には何かを犠牲にしなくちゃいけないこともあるのよ…理解ってよ…ジーナ…」



「いーや!理解らへんなぁ!姉ちゃん…シャブリヤール王子はウチらを逃がして生かしてくれたんは不幸になる為ちゃうで!


自分の命と引き換えにウチらに幸せになって欲しかったからや…ホンマにウチ、あの方に感謝してる…


そして刻を超えてもう一人…ウチを大切にしてくれる感謝すべき人に出会えた…


ウチは確信した…!この人と幸せに生きる為にウチはもう一度この世に生まれた…そしてこの人とバビロナを守るために闘う…姉ちゃんも一緒に闘おう!なっ?」



「……」



「ジーナ!マズい…いくら君が能力ちからを貸してくれていても時間を止めるのはもう限界だ…」


「分かった…殿………姉ちゃん…」


そう呟いてジーナは優也の中に再び帰って行った。


クロノの魔法が解けて時間は動き出す…







…ヴァルプルギスはパチンと指を鳴らした。


ボワン…!


煙が上がったと思うとその中に現れた彼女は黒い魔女帽とローブ姿、そして手には魔法のほうきを握り締めている。


「おお、これこれ!懐かしいのう…若い頃のファッションをまた着れるとは…」


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