役者は揃った
「愛ちゃん…」
「遅くなったわね…遂に出来たのよ…
ダイナ号…エクス号…パルテ号がね！」
愛ちゃんは僕に向かってウインクした。
「一体…それは…？」
「実はミラールにはね、昔より伝わる造船技術があったの…もう何年も船は作られてはいなかったのよ…でもパルテ様がアドバイスしてくださって百人以上乗る事が出来る三艘の船を急ピッチで作ることが出来たのよ…私達の未来眼でいずれバビロナへ
みんなで来る事が分かっていたからね…少し前から準備はしていたのよ…
それだけではなく、パルテ様はダイナ様、エクス様に協力して頂いて合わせ鏡の術を応用して私達の大陸沖とバビロナ沖に三人の魔法力で作られた大鳥居を作られたの…
この大鳥居を船でくぐれば一瞬にして大陸間を移動出来るわ…」
す、凄い…愛ちゃんの未来眼の能力と彼女の行動力もだけど…やっぱり伝説の三魔女…とんでもない力を…それを束ねているヴァルって実は物凄い魔女なんじゃ…僕はヴァルをまじまじと見た。
「何じゃ…？優也…わらわを見つめて…寂しくなったのか？全く…しょうがないのう…
ほれ…わらわが抱きしめてやるからの…」
そう言ってヴァルは僕にギュッと抱きついた…
「あっ！あなた…ドサクサに紛れてダーリンに何してるのよ？離れなさい！」
「良いではないか…ケチケチするでない！元々わらわは優也の中におるのだから一緒のようなものじゃ…」
ヴァルとティナのやり取りにナギさんと愛ちゃん…もちろん僕も苦笑いした。
「あの…二人とも…今、戦闘中なんですけど…」
「おーい！婿殿よ…ワシらも助太刀にきたぞ！」
「我がソーディア軍の兵士達よ！そなた達こそ我が国の誇りじゃ！正義の剣を思う存分振るうがよい！」
お義父さん…それにマサムネさんも…お二人が指揮を執って下さればこの上なく心強い！
「パパ〜！ママ〜！」
お義母さんと一緒にテレポートして来た我が子達…
「ミス…リル…」「あなた達…」
「ゴメンなさい…どうしてもパパとママのところに行くって利かないものだから…」
「いえ…危なくなったら二人をお願いしますね…」
「ええ…」
ミスとリルは僕とティナに駆け寄ってきた…
「パパ…ママ…頑張ってね…」
「ああ…！」僕とティナは笑顔で二人を抱きしめた。
一気に形勢は逆転し、僕達は空中庭園の上層を望んだ。
「さあ…ジーニャを助け出さないと…」
「ぬぬぬぬ…何をやってるんだ！こうなったら…
おい！ジーニャ…ボクちゃんの婚約者として最初の仕事だ！アイツらをやれ！」
「でも…ジーナもロジャーも…」
「ええい！うるさい！文句を言うならお前も含めて全員石にしちゃうぞ…！」
イミテの心ない言葉にジーニャは目を伏せた…
「分かりました…」
