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踏み出した一歩

「ワ、ワシらが…?」


「お願い!将軍…ウチはこの人達に賭ける事に決めたんや!もう逃げるだけのバビロナやない!


自分達の暗い歴史にピリオドを打つ時が来たんや…

ウチだけやない…姉ちゃんも…将軍、森のみんな全員で自由を取り戻すんや!」


「ひ、姫…お忘れになったんですか?あの時、ワシらが皆を守ろうとしたから…」


「そうや!そやから姉ちゃんはもう闘わへんという道を選んでアイツの側にいるんや…


でも…ウチはあの人らを見てて考え直した。


ウチらがこの世にもう一度戻れたのは幸せだったバビロナの最期が悲し過ぎて未練が残ったからやとウチは思うてる…


だからこそ流されず自分達の力であの頃の幸せなバビロナを取り戻さなアカンのと違うか?


自分達に関係ないバビロナにこんなに一生懸命してくれて…ウチや将軍が本気にならへんでどうすんねん!勇猛果敢なバビロナの将軍は何処へ行ってしもうたんや…!」


ロジャーの…ミミズクの大きな目はジーナの瞳に確かに宿る光にハッと気付いた…






少しの沈黙の後、ロジャーは光に包まれた…そして鎧に身を包み、精悍な顔立ちで屈強な肉体に髭を蓄えた男性がそこに現れた…




「姫…逃げ延びた森の中で生活する我々が侵略国家が放った追手に見つかり…私と姫君お二人で必死の抵抗をしました…我々は一騎当千の闘いを繰り広げましたが相手の数に負けてしまい、命を落としました…


その後、残った者達は我々が抵抗したからと反逆罪に問われて全員処刑されました…


もし…あの時…我々が抵抗せず、相手に服従していたら…奴隷となったとしてもみんなの命は助かっていたのではないか…?


ジーニャ様はずっとその葛藤かっとうさいなまれておられました。


だからあの方は侵略者に対して刃を向けない選択肢を取られたのでしょう…誰よりも強く…そして本当にお優しい…


しかし…ワシは…今、ジーナ姫を見て思い出しましたわい!


我が主…シャブリヤール王子の瞳の輝きを!


我々森の民…一丸となって姫と…そして異国の民の力も借りて必ずやバビロナの自由を取り戻しましょうぞ…なあ、みんな!」


「ああ…」ジーナは涙を浮かべながら笑った。

ロジャー将軍の背後には勢揃いした森の民がジーナと同じ瞳の輝きをして立っていた。












「よいしょ…っと…」


優也達はみんなでトンベリの木を海岸の砂浜の上に集めていた。


ナギは側を通ったロジャーを呼び止めた…


「ロジャーさん…糸はどうして作るんですか?」


「…スキラという黒い植物の綿帽子から作ります。とても丈夫で軽くて魔法因子を沢山含んでいるのですよ…」


「まあ…初めて聞く名前ですわ…興味深いですわね…」


「取り扱いはお気をつけて…花粉に微量ですが神経毒が含まれています…」


「そ、そうですか…」



「さあて!」ジーナは大きな声を上げた。



「魔法使いと精霊の底力をアイツらに思い知らせたるねん!」

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