表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/103

その男の名は

「シーッ!声が大きいです…」ジーナは口元に人差し指を当てた。


「ご…ごめんよ…」


「魔法のランプか…それは興味深いのう…」


「ほら…チビっ子魔女に知られちゃったじゃないですか…」


ヴァルは紅い瞳でジーナを睨んだ…

「お前…次にわらわをその呼び方で呼んだら即死魔法であの世に送ってやるぞよ…」


「まあまあ…やっぱりここにいるみんなにはちゃんと全部話した方がいいよ…」


「そ、そうですね…それでその男は次に街の人々を脅し始めたのです…


我はジュエラの王…我に従えばバビロナの再興に力を貸そうではないか…?


従わぬ者は石に変えてやる…と…



…彼に逆らった数名の者が本当に石に変えられました。


それを知った姉ちゃんはこれ以上被害を大きくしない為に彼を懐柔する策を取ったんだと思います…

 

するとあの男は美しい姉ちゃんに自分の妻になれと要求してきました…妻になればバビロナのその宝の事も見逃してやると…


国を守る為に姉ちゃんは自分さえ我慢して彼の言う通りにすればバビロナの者がみんな助かると…


でもウチや姉ちゃん、バビロナの人々が欲しかった幸せな日々はこんなんやない!


姉ちゃんは今もまだシャブリヤール様の事を愛してんねん!ウチの大切な姉ちゃん…絶対に幸せになって欲しい…




ジーナはまた目に涙を浮かべながら空を仰ぐように

姉の幸せを願った。



優也はそんなジーナの肩にポンと右手を置いて


「大丈夫…僕達でバビロナの幸せを勝ち取ろうよ!」


「はい!」優也の力強い言葉に彼女は大きな声で返事をして…涙を拭って悲しみを振り切るような笑顔を見せた…



「でも…ダーリン…これからどうするの…?

ジーニャさんは人質に取られているようなものだし…人間を石に変えてしまう怪物を操る男でしょ?得体が知れないわ…」


その時、アイはニヤリと笑ったかと思うと…

「さあ…最終決戦の為に私は準備をしに一先ずミラールへ帰るわ…絶対に間に合わせるから…」とテレポートして帰って行った…



同じようにニヤリと笑ったヴァルは「ほう…ミラールの王女は未来眼で何かが見えたのか…考えがあるらしいぞよ…


優也…我々も一度ジュエラに帰ってあの馬鹿者をもう一度懲らしめる作戦を練らんとのう…」



「あの馬鹿者…?まさかヴァルはジュエラ王の名を騙る男の正体が分かったの?」


「何じゃ…お主…まだ分からんのか…?


この世に一人しかおらんじゃろう…


国を追われ…召喚獣を操り、他国の美しい王女を自分の妻にしようと目論み…自分の欲望の為に行動する大馬鹿者は…」



優也とプラティナは顔を見合わせる…


「ま、まさか……」








平野を見下ろす丘陵にそびえ立つバビロナ空中庭園の神殿…その緑に囲まれた屋上は雲にも到達する高さ…その中央の広場の噴水のほとりに腰掛けるジーニャ…


その美しい黒髪の娘…褐色の綺麗な肌の膝を枕に横たわる男…



「ジーニャ…僕は幸せだよ…ジュエラではロクな女が居なかったからね…君のように知的で優しさを兼ね備えた女性を妻にめとれて最高の気分さ…ムフフフフ…」



「はい…私は何処までもあなたについて行きますわ…」



優しい口調とは裏腹に彼女はとても哀しい眼をして彼の名を呼んだ…












聡明なるイミテ様…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ