ダメだこりゃ
優也はドアを開けた…「ただいま〜!」
パタパタパタ…奥からプラティナが急いで優也に駆け寄り、そのまま優也の胸にダイブするように飛び込む…
「お帰りなさい…ダーリン…今日は昨日より五分程遅かったから事故にでも遭ってないか心配で心配で…さっき空間移動で駐車場まで見に行ったらあなたの車のヘッドライトが見えて私…飛び上がる程嬉しくなっちゃったわ…」
「ゴメンよ…ティナ…心配させてしまって…でもやっと君の顔が見れて僕の心は安らぎの気持ちで満たされているよ…」「嬉しい…ダーリン…私もよ…」
ダイニングテーブルではミスとリルがいつものように優也とプラティナを待っていた…
「ママ…そろそろごはんにしてくれないかなぁ…」「もうすこしだけまってあげなさいよ…ママはパパがかえってきたからうれしいのよ…」「おかえり〜でいいんじゃね?」「あっ!あんた…そんなことばいつおぼえたのよ…やめなさいよ…ママとばあばにおこられるわよ…」
しばらくして玄関で愛を確かめ合った二人…
優也がプラティナをお姫様抱っこをしてリビングに入ってきた…
「ミス…リル…ただいま!」「おかえりなさ〜い…」テンションの低い子供達の返事に
優也とプラティナは顔を見合わせた…
「あなた達…パパが帰って来たのよ…嬉しくないの…?」プラティナの言葉に二人はダイニングテーブルに身を投げ出した…
「ママ…おなかすいたよ…ごはんにしてよ…」「はいはい…でもね、リル…パパはみんなの為に一生懸命頑張って働いて下さっているのよ…そんなパパを置いて先に私達だけ夕食を頂けないでしょう…」
「ティナ…子供達も育ち盛りだし、君も僕と同じように働いているんだ。君達で先に食べてくれて構わないんだよ…そんな事で君の愛情が薄れたなんて僕はこれっぽっちも思わないから…」
「まあ…ダーリン…なんて心が広くて綺麗なんでしょう…私、あなたを好きになって良かった…ううう…」「ティナ…泣かないで…僕は君達が一番大切なだけなんだよ…」
顔を見合わせるミスとリル…
ミスは小さく呟いた…
「だめだこりゃ…」
「さあ…ごはんにしましょうね!いただきます!」プラティナが指をパチンと鳴らすと
色とりどりの料理がテーブルに現れた…
子供達は手を合わせて「いただきま〜す!」と言うやいなや料理に飛びついた…
その姿を見て僕はまたティナと顔を見合わせて微笑み合った…
食事を終えた僕はミスに絵本を読んであげていた…するとティナから「ダーリン…お弁当箱を出してくださいますか?」と言われて「そうだ!ゴメンゴメン!」とお弁当箱をキッチンの洗い場に持って行く…
「あら…」プラティナがバッグの中に入っていた籐のカゴと重箱に気づいた…
「ダーリン…それは…?」「ああ…ナギさんと愛ちゃんがついでがあったから作ったので食べてくれって…」
それを聞いたプラティナの眼に涙が溢れてくる…「ダーリン…私のお弁当よりナギやアイさんの料理が美味しかった?」
僕は慌てて「そ、そんな訳ないよ…君のお弁当が愛情たっぷりで大満足さ…二人のは単なるおすそ分けだよ…」
プラティナは涙を指で拭いながら呟く…
「本当に?」「本当だよ!」「本当の本当に?」「ああ!本当の本当だよ」
プラティナはまた優也の胸の中に飛び込んだ…「あなた…優しいから他の女性も放っておかないのは分かりますけど…あまり他の女性に優しくしないでね…」
「分かったよ…君がそう言うならなるべく気を付けます。だって君以外の女性に好かれても仕方ないからね。だって僕は君だけが大好きだから…」「嬉しい…あなた…ありがとう…」また僕とティナは口づけを交わした…
ミスは横目で二人を見ていた…
機嫌が直ったプラティナはキッチンで洗い物を始めた…「おや?」僕はテーブルの上の壺に気づいた…「これは…?」