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ジーナとジーニャ

ジーナが少し落ち着いた後、僕達はこの国に最初に足を踏み入れた海岸へと向かった。


いきなり神殿に押しかけても話を聞いてもらえるかどうか分からない…

それどころか僕がジーナをそそのかしているのでは?と思われるのがオチである。


ここは海岸に出て姉妹で一度話してから直接詳しい話を聞いてもらうのがベストだと彼女と二人で話し合った…


ジーナは姉にテレパシーを送る…


「…姉ちゃん…私…ジーナです」


「…!ジーナ!ああ…心配したわ…急に居なくなって…一体どうしたの!」


「ゴメン…実は私…姉ちゃんが分からへんねん…」


ジーニャは一瞬驚いた様子を見せたがジーナに対して平静を装った。

「…私が?…どういう事か説明して頂戴…」

「だって…おかしいやん…なんでバビロナを

侵略してきたような人とあんなに仲良うしなあかんの…?」

「ジーナ…彼はそんな人じゃありません…いずれあなたにも理解してもらえる時がきっと来るわ。私はバビロナの王女…この王朝を守る責任があるの…ねぇ…お願いだから分かって…」


「あの…」優也がジーナのテレパシーの思念に割り込んで二人の会話に口を挟んだ…


「ハァ…またあなたですか…」ジーニャは大きな溜息をつく…


「これ以上、私達とこの国に関わらないでってお願いしましたよね…?」

眉間にシワを寄せ、真っ直ぐに睨むような視線で僕に敵意を剥き出しにしている…


「違うんです…僕はただジーナが…」


「ジーナは私の妹…しかも私達は双子の血を分けた姉妹ですよ…あなたにとやかく言われる筋合いはありません!」



「それがおかしいっちゅうんや!」

俯いていたジーナが突然大きな声を上げた…



「ジーナ…」


「姉ちゃん…いつからそんな人になったんや…ウチの知ってる姉ちゃんはそんな人やあらへん…いつも人や動物…道に咲いてる花にまで微笑みかける自慢の姉ちゃんやった…小さい頃からウチは姉ちゃんの後を付いて歩いていつかこんな素敵な女性になろうと心に決めたんや!


ところが今の姉ちゃんはどうや!

特にウチを大切にしてくれる旦那様…殿の事をひどい扱いやないか…いくら姉ちゃんでも

許せる事と許せへん事があるで!」



「…ジーナ…あなたはまだ子供なのよ…

国王職を続けて行くには色々な難しい事もあるわ…分かりました…二人でゆっくり話しましょう…」


「嫌や!ウチは殿と一緒に暮らすんや!今日は姉ちゃんにお別れを言いに来たんや…あんな侵略者とイチャイチャして…ウチはウチで殿と末永く幸せに暮らします…ほな!さいなら!」


「待って…分かりました…優也さん…数々の非礼をお詫び致します…ジーナと一緒に神殿にお越しください…」




…今、思い出しても僕はこの時の彼女…ジーニャの悲痛な胸の内を理解してあげられなかった事を悔やんでしまう…

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