ジーナは可愛い魔女
「灯りを付けましょ…雪洞に…」
今日は雛祭り…ミスの成長を祝って…小さいけど両親が買ってくれた雛人形を飾った…
ミスは真っ赤な着物を着てお祝いに駆けつけてくれた両方のじいじとばぁば、管理人さん、マサムネさん、ナギさん、愛ちゃん…
そしてバビロナから遊びに来た二人のジーナ…でもややこしいからやはり僕はジーニャさんとジーナとお呼びしている…
みんなの前でミスは挨拶をした…
「み、みなさん…きょうはふつつかなむすめのためにおあつまりいただき、まことにありがとうございます。たいしたものはごよういできませんでしたがどうかこころゆくまでおくつろぎください。」
「お、おねえちゃん…すごいな…」
立派な口上を述べたミスにみんなが称賛の拍手を送った…
「ゴルドさん…マサムネさん…いやあ…あなた方のような立派な方々と娘さん達に囲まれているからミスがあんな立派な子に成長して…私は嬉しいです!」
「とんでもない…婿殿にはワシらも勉強させて頂く事ばかりで…これもご尊父、ご母堂の教えの賜物ではないかとワシ達も常日頃…のう!マサムネよ…」
「いや、ホントですわい!ウチの婿にも来て欲しいくらいで…いや、本当に!」
「また始まっちゃったわね…お父様達…」
「ああ…でも酒の肴には丁度良いんじゃないかな?だって君が素晴らしい娘だって言うことは本当なんだし…」
「まあ…ダーリンたら…」
テーブルの上には雛祭りらしく手巻き寿しの具が沢山並んでいる…
「さあ…皆さんも好きな物を巻いて召し上がって下さい…ティナもお義母さんもおふくろもね…」
みんなで楽しく手巻き寿しを楽しむ…
「ゆ、優也さん…これ…美味しいですよ…どうぞ…」
ナギさんは野菜が沢山入ったヘルシーな手巻き寿しを僕に巻いてくれた…
「とても美味しそう…いただきま〜す!パクッ!」
次の瞬間…優也の額に汗が噴き出た…堪らず叫びだす…「ひ、ひぇぇぇぇぇ!か、辛い…」
「ナ、ナギ…何を入れたの…?」
「何ってこの綺麗な緑のソースをたっぷりと…」
「ワ、ワサビじゃないの…」
慌てる優也にアイはグラスを差し出した。
「全く…人騒がせね…はい!優也くん…氷入りのお水よ…」「あ、ありがとう…」
「おや…?」「どうしたゴルド…?」
「いや…ワシの水割りをここに置いておいた筈…」
優也は一気に飲み干した…「ギョ、ギョエ〜!」
「ダ、ダーリン…もう…みんな…酷いじゃない…」
慌てる優也を見てジーニャはまたクスッと笑った。
「姉ちゃん…殿の事…好きなんか?」
ジーナが尋ねた。
「ええ…もうあなたにも皆様にも誤魔化す必要もないから…
心の向かうままに好きな人を好きと言いたい…
我慢なんてする必要無いわ…
だってバビロナはもう幸せで溢れているから…」
「ホンマやな…!」ジーナは幸せそうに笑った。
「ジーナちゃん!」
管理人さんが彼女に声をかけた…
「今日は遠くからようこそ…大変だったでしょ?」
「いやあ〜!あの壺からパッと…ここは庭のようなモンやから…」ジーナはリビングの壺を指差した…
「えっ?壺…?」
「何でもない、何でもない…コッチの話…あははは…」
「ダメですよ…ジーナ…バビロナの王女として丁寧な言葉遣いを…」「わ、分かってるって…」
「全く…もっと上品にしないと優也様にも失礼ですよ…」
そう言いながらジーニャは料理を一口頬張った…
「ヴ…ゥゥゥゥ…」どうやら喉に詰まったらしい。
「み、水を…ゴ、ゴクゴクゴク…」
「おや、ゴルド…ワシの水割りも…何処かに…」
ジーニャの目が据わった…
「おい…優也…ちょっとこっちへ来い…」
「は?」
「ア、アカン…殿…ここは姉ちゃんの言う通りに…
姉ちゃん、最近お酒を嗜むようになったんや…でも…あの通り酒グセが…」
「何をコソコソ話してるんだよ!良いからコッチヘ来いって…!」「は、はい…」
優也はジーニャの元へ駆け寄った…
「キスしろ!」 「は…?」
「あたしにキスしろって言ってんだよ…早くしろ!しないと闇魔法で…」
「わー!もう…助けてよ…」
…こうしてまた僕達に新しい仲間が出来た。
しっかり者の姉と明るい妹
二人のジーナはとても可愛い魔女だ。
奥さまは魔王女 second season 〜ジーナは可愛い魔女〜 完




